武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律
平成25年6月21日 改正
第1条
【目的】
この法律は、武力攻撃事態等において武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、並びに武力攻撃の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることの重要性にかんがみ、これらの事項に関し、国、地方公共団体等の責務、国民の協力、住民の避難に関する措置、避難住民等の救援に関する措置、武力攻撃災害への対処に関する措置その他の必要な事項を定めることにより、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「事態対処法」という。)と相まって、国全体として万全の態勢を整備し、もって武力攻撃事態等における国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを目的とする。
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参照条文
第2条
【定義】
2
この法律において「指定地方公共機関」とは、都道府県の区域において電気、ガス、輸送、通信、医療その他の公益的事業を営む法人、地方道路公社(地方道路公社法第1条の地方道路公社をいう。)その他の公共的施設を管理する法人及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法第2条第1項の地方独立行政法人をいう。)で、あらかじめ当該法人の意見を聴いて当該都道府県の知事が指定するものをいう。
3
この法律において「国民の保護のための措置」とは、対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関が法律の規定に基づいて実施する事態対処法第22条第1号に掲げる措置(同号ヘに掲げる措置にあっては、対処基本方針が廃止された後これらの者が法律の規定に基づいて実施するものを含む。)をいう。
第3条
【国、地方公共団体等の責務】
1
国は、国民の安全を確保するため、武力攻撃事態等に備えて、あらかじめ、国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針を定めるとともに、武力攻撃事態等においては、その組織及び機能のすべてを挙げて自ら国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施し、又は地方公共団体及び指定公共機関が実施する国民の保護のための措置を的確かつ迅速に支援し、並びに国民の保護のための措置に関し国費による適切な措置を講ずること等により、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する。
2
地方公共団体は、国があらかじめ定める国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針に基づき、武力攻撃事態等においては、自ら国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施し、及び当該地方公共団体の区域において関係機関が実施する国民の保護のための措置を総合的に推進する責務を有する。
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参照条文
第4条
【国民の協力等】
3
国及び地方公共団体は、自主防災組織(災害対策基本法第2条の2第2号の自主防災組織をいう。以下同じ。)及びボランティアにより行われる国民の保護のための措置に資するための自発的な活動に対し、必要な支援を行うよう努めなければならない。
第5条
【基本的人権の尊重】
2
前項に規定する国民の保護のための措置を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該国民の保護のための措置を実施するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われるものとし、いやしくも国民を差別的に取り扱い、並びに思想及び良心の自由並びに表現の自由を侵すものであってはならない。
第7条
【日本赤十字社の自主性の尊重等】
2
国及び地方公共団体は、放送事業者(放送法第2条第26号の放送事業者をいう。以下同じ。)である指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置については、その言論その他表現の自由に特に配慮しなければならない。
第8条
【国民に対する情報の提供】
2
国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護のための措置に関する情報については、新聞、放送、インターネットその他の適切な方法により、迅速に国民に提供するよう努めなければならない。
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参照条文
第10条
【国の実施する国民の保護のための措置】
1
国は、対処基本方針及び第32条第1項の規定による国民の保護に関する基本指針に基づき、国民の保護のための措置に関し、次に掲げる措置を実施しなければならない。
第11条
【都道府県の実施する国民の保護のための措置】
1
都道府県知事は、対処基本方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、第34条第1項の規定による都道府県の国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該都道府県の区域に係る次に掲げる国民の保護のための措置を実施しなければならない。
2
都道府県の委員会及び委員は、対処基本方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、前項の都道府県の国民の保護に関する計画で定めるところにより、都道府県知事の所轄の下にその所掌事務に係る国民の保護のための措置を実施しなければならない。
第12条
【他の都道府県知事等に対する応援の要求】
1
都道府県知事等は、当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置を実施するため必要があると認めるときは、他の都道府県の都道府県知事等に対し、応援を求めることができる。この場合において、応援を求められた都道府県知事等は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない。
2
前項の応援に従事する者は、国民の保護のための措置の実施については、当該応援を求めた都道府県知事等の指揮の下に行動するものとする。この場合において、警察官にあっては、当該応援を求めた都道府県の公安委員会の管理の下にその職権を行うものとする。
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参照条文
第13条
【事務の委託の手続の特例】
都道府県は、当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置を実施するため必要があると認めるときは、地方自治法第252条の14及び第252条の15の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その事務又は都道府県知事等の権限に属する事務の一部を他の都道府県に委託して、当該他の都道府県の都道府県知事等にこれを管理し、及び執行させることができる。
第14条
【都道府県知事による代行】
第15条
【自衛隊の部隊等の派遣の要請】
2
対策本部長は、前項の規定による要請が行われない場合において、当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置を円滑に実施するため緊急の必要があると認めるときは、防衛大臣に対し、自衛隊の部隊等の派遣を求めることができる。
第16条
【市町村の実施する国民の保護のための措置】
1
市町村長は、対処基本方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、第35条第1項の規定による市町村の国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該市町村の区域に係る次に掲げる国民の保護のための措置を実施しなければならない。
2
市町村の委員会及び委員は、対処基本方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、前項の市町村の国民の保護に関する計画で定めるところにより、市町村長の所轄の下にその所掌事務に係る国民の保護のための措置を実施しなければならない。
第17条
【他の市町村長等に対する応援の要求】
1
市町村長等は、当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置を実施するため必要があると認めるときは、他の市町村の市町村長等に対し、応援を求めることができる。この場合において、応援を求められた市町村長等は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない。
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参照条文
第19条
【事務の委託の手続の特例】
市町村は、当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置を実施するため必要があると認めるときは、地方自治法第252条の14及び第252条の15の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その事務又は市町村長等の権限に属する事務の一部を他の地方公共団体に委託して、当該他の地方公共団体の長等(地方公共団体の長その他の執行機関をいう。以下同じ。)にこれを管理し、及び執行させることができる。
第20条
【自衛隊の部隊等の派遣の要請の求め等】
2
市町村長は、前項の規定による求めができないときは、その旨及び当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置を円滑に実施するため必要があると認める事項を防衛大臣に連絡することができる。この場合において、防衛大臣は、速やかに、その内容を対策本部長に報告しなければならない。
第21条
【指定公共機関及び指定地方公共機関の実施する国民の保護のための措置】
2
指定公共機関又は指定地方公共機関は、その業務に係る国民の保護のための措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長に対し、労務、施設、設備又は物資の確保について応援を求めることができる。この場合において、応援を求められた指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない。
第22条
【安全の確保】
国は指定行政機関、地方公共団体及び指定公共機関が実施する国民の保護のための措置について、都道府県は当該都道府県、市町村並びに指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置について、市町村は当該市町村が実施する当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置について、その内容に応じ、安全の確保に配慮しなければならない。
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参照条文
第23条
【武力攻撃等の状況等の公表】
対策本部長は、武力攻撃及び武力攻撃災害の状況並びに住民の避難に関する措置、避難住民等の救援に関する措置その他の国民の保護のための措置の実施の状況について、適時に、かつ、適切な方法により、国民に公表しなければならない。
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参照条文
第24条
【対策本部の所掌事務等】
2
対策本部に、対策本部長の定めるところにより対策本部の事務(国民の保護のための措置に関する事務に限る。)の一部を行う組織として、武力攻撃事態等現地対策本部を置くことができる。この場合においては、地方自治法第156条第4項の規定は、適用しない。
4
内閣総理大臣は、第2項の規定により武力攻撃事態等現地対策本部を置いたときは当該武力攻撃事態等現地対策本部の名称、所管区域並びに設置の場所及び期間を、当該武力攻撃事態等現地対策本部を廃止したときはその旨を、直ちに、公示しなければならない。
7
武力攻撃事態等現地対策本部長及び武力攻撃事態等現地対策本部員その他の職員は、対策副本部長(事態対処法第11条第3項の対策副本部長をいう。)、対策本部員(同項の対策本部員をいう。)その他の職員のうちから、対策本部長が指名する者をもって充てる。
第25条
【都道府県対策本部及び市町村対策本部を設置すべき地方公共団体の指定】
1
内閣総理大臣は、事態対処法第9条第6項(同条第13項において準用する場合を含む。)の規定により対処基本方針の案又は対処基本方針の変更の案について閣議の決定を求めるときは、併せて第27条第1項の規定により都道府県国民保護対策本部を設置すべき都道府県及び市町村国民保護対策本部を設置すべき市町村の指定について、閣議の決定を求めなければならない。
第27条
【都道府県対策本部及び市町村対策本部の設置及び所掌事務】
第28条
【都道府県対策本部及び市町村対策本部の組織】
1
都道府県対策本部又は市町村対策本部の長は、都道府県国民保護対策本部長(以下「都道府県対策本部長」という。)又は市町村国民保護対策本部長(以下「市町村対策本部長」という。)とし、それぞれ都道府県知事又は市町村長をもって充てる。
7
防衛大臣は、都道府県対策本部長の求めがあった場合において、国民の保護のための措置の実施に関し連絡調整を行う必要があると認めるときは、その指定する職員を都道府県対策本部の会議に出席させるものとする。
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参照条文
第29条
【都道府県対策本部長及び市町村対策本部長の権限】
1
都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、当該都道府県及び関係市町村並びに関係指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置に関する総合調整を行うことができる。
2
前項の場合において、関係市町村長等又は関係指定公共機関若しくは指定地方公共機関は、当該関係市町村又は関係指定公共機関若しくは指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る国民の保護のための措置に関して都道府県対策本部長が行う総合調整に関し、当該都道府県対策本部長に対して意見を申し出ることができる。
3
都道府県対策本部長は、国民の保護のための措置の実施に関し、指定行政機関又は指定公共機関と緊密な連絡を図る必要があると認めるときは、当該連絡を要する事項を所管する指定地方行政機関の長(当該指定地方行政機関がないときは、当該指定行政機関の長)又は当該指定公共機関に対し、その指名する職員を派遣するよう求めることができる。
4
都道府県対策本部長は、特に必要があると認めるときは、対策本部長に対し、指定行政機関及び指定公共機関が実施する国民の保護のための措置に関する総合調整を行うよう要請することができる。この場合において、対策本部長は、必要があると認めるときは、所要の総合調整を行わなければならない。
5
市町村対策本部長は、当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、当該市町村が実施する当該市町村の区域に係る国民の保護のための措置に関する総合調整を行うことができる。
6
市町村対策本部長は、特に必要があると認めるときは、都道府県対策本部長に対し、都道府県並びに指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置に関する総合調整を行うよう要請することができる。この場合において、都道府県対策本部長は、必要があると認めるときは、所要の総合調整を行わなければならない。
7
市町村対策本部長は、特に必要があると認めるときは、都道府県対策本部長に対し、指定行政機関及び指定公共機関が実施する国民の保護のための措置に関する第4項の規定による要請を行うよう求めることができる。
第33条
【指定行政機関の国民の保護に関する計画】
3
指定行政機関の長は、その国民の保護に関する計画の作成に当たっては、それぞれの指定行政機関の国民の保護に関する計画が一体的かつ有機的に作成されるよう、関係指定行政機関の長の意見を聴かなければならない。
第34条
【都道府県の国民の保護に関する計画】
第35条
【市町村の国民の保護に関する計画】
第36条
【指定公共機関及び指定地方公共機関の国民の保護に関する業務計画】
第37条
【都道府県協議会の設置及び所掌事務】
1
都道府県の区域に係る国民の保護のための措置に関し広く住民の意見を求め、当該都道府県の国民の保護のための措置に関する施策を総合的に推進するため、都道府県に、都道府県国民保護協議会(以下この条及び次条において「都道府県協議会」という。)を置く。
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参照条文
第38条
【都道府県協議会の組織】
第39条
【市町村協議会の設置及び所掌事務】
1
市町村の区域に係る国民の保護のための措置に関し広く住民の意見を求め、当該市町村の国民の保護のための措置に関する施策を総合的に推進するため、市町村に、市町村国民保護協議会(以下この条及び次条において「市町村協議会」という。)を置く。
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参照条文
第42条
【訓練】
1
指定行政機関の長等は、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、それぞれ又は他の指定行政機関の長等と共同して、国民の保護のための措置についての訓練を行うよう努めなければならない。この場合においては、災害対策基本法第48条第1項の防災訓練との有機的な連携が図られるよう配慮するものとする。
2
都道府県公安委員会は、前項の訓練の効果的な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該訓練の実施に必要な限度で、区域又は道路の区間を指定して、歩行者又は車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
第45条
【対策本部長等による警報の通知】
2
指定行政機関の長は、前項の規定による通知を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その内容を管轄する指定地方行政機関の長、所管する指定公共機関その他の関係機関に通知しなければならない。
第46条
【都道府県知事による警報の通知】
都道府県知事は、前条第3項の規定による通知を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その内容を当該都道府県の区域内の市町村の長、当該都道府県の他の執行機関、当該都道府県知事が指定した指定地方公共機関その他の関係機関に通知しなければならない。
第47条
【市町村長による警報の伝達等】
1
市町村長は、前条の規定による通知を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その内容を、住民及び関係のある公私の団体に伝達するとともに、当該市町村の他の執行機関その他の関係機関に通知しなければならない。
第52条
【避難措置の指示】
3
対策本部長は、避難措置の指示をする場合において、離島を含む地域を要避難地域として示すときは、当該離島の避難住民(第54条第1項の規定による指示を受けた住民をいい、当該指示に係る地域に滞在する者を含む。以下同じ。)の運送に関し特に配慮しなければならない。
5
指定行政機関の長は、前項の規定による通知を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その内容を管轄する指定地方行政機関の長及び所管する指定公共機関に通知しなければならない。
第54条
【避難の指示】
1
避難措置の指示を受けたときは、要避難地域を管轄する都道府県知事は、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、要避難地域を管轄する市町村長を経由して、当該要避難地域の住民に対し、直ちに、避難すべき旨を指示しなければならない。この場合において、当該都道府県知事は、地理的条件、交通事情その他の条件に照らし、当該要避難地域に近接する地域の住民をも避難させることが必要であると認めるときは、当該地域を管轄する市町村長を経由して、当該地域の住民に対し、避難すべき旨を指示することができる。
3
都道府県知事は、避難の指示をする場合において、避難先地域に当該都道府県の区域内の指定都市(地方自治法第252条の19第1項の指定都市をいう。以下同じ。)の区域が含まれるときは、あらかじめ、当該指定都市の長の意見を聴くものとする。
第55条
【避難の指示の解除】
2
都道府県知事は、前条第1項後段の規定により避難の指示をした場合において、当該避難の指示に係る要避難地域に近接する地域の全部又は一部について避難の必要がなくなったと認めるときは、当該地域の全部又は一部について避難の指示を解除するものとする。
第56条
【避難の指示に係る内閣総理大臣の是正措置】
1
内閣総理大臣は、避難の指示に関し対策本部長が行った事態対処法第14条第1項の総合調整に基づく所要の避難の指示が要避難地域を管轄する都道府県知事により行われない場合において、国民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に対し、当該所要の避難の指示をすべきことを指示することができる。
2
内閣総理大臣は、前項の規定による指示を行ってもなお所要の避難の指示が当該要避難地域を管轄する都道府県知事により行われないとき、又は国民の生命、身体若しくは財産の保護を図るため特に必要があると認める場合であって事態に照らし緊急を要すると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に通知した上で、自ら当該所要の避難の指示をすることができる。
第60条
【都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置に係る内閣総理大臣の是正措置】
1
内閣総理大臣は、都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置に関し対策本部長が行った事態対処法第14条第1項の総合調整に基づく所要の都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置が避難先地域を管轄する都道府県知事により講じられない場合において、国民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に対し、当該所要の都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置を講ずべきことを指示することができる。
2
内閣総理大臣は、前項の規定による指示を行ってもなお所要の都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置が当該避難先地域を管轄する都道府県知事により講じられないとき、又は国民の生命、身体若しくは財産の保護を図るため特に必要があると認める場合であって事態に照らし緊急を要すると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に通知した上で、自ら又は総務大臣を指揮し、当該所要の都道府県の区域を越える避難住民の受入れのための措置を講じ、又は講じさせることができる。
第61条
【避難実施要領】
第62条
【市町村長による避難住民の誘導等】
2
消防に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合(以下「消防組合」という。)の管理者又は長(地方自治法第287条の3第2項(同法第291条の13において準用する場合を含む。)の規定により管理者又は長に代えて理事会を置く消防組合にあっては、理事。以下同じ。)は、当該消防組合を組織する市町村の長が前項の規定により避難住民を誘導するときは、当該市町村の避難実施要領で定めるところにより、当該消防組合の消防長及び消防団長を指揮し、当該市町村と協力して、避難住民を誘導しなければならない。
4
第2項の場合において、当該消防組合を組織する市町村の長は、当該市町村の避難住民の誘導に関し特に必要があると認めるときは、当該消防組合の管理者又は長に対し、当該消防組合の消防長又は消防団長に対して必要な措置を講ずべきことを指示するよう求めることができる。
5
前三項の規定は、消防に関する事務の全部又は一部を他の地方公共団体に委託した市町村の長が避難住民を誘導する場合について準用する。この場合において、第2項中「消防に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合(以下「消防組合」という。)の管理者又は長(地方自治法第287条の3第2項(同法第291条の13において準用する場合を含む。)の規定により管理者又は長に代えて理事会を置く消防組合にあっては、理事。以下同じ。)」とあり、前項中「消防組合の管理者又は長」とあるのは「委託を受けた地方公共団体の長」と、第2項及び前項中「当該消防組合を組織する市町村」とあるのは「委託した市町村」と、「当該市町村」とあるのは「当該委託した市町村」と、「当該消防組合の消防長」とあるのは「当該委託を受けた地方公共団体の消防長」と読み替えるものとする。
第63条
【警察官等による避難住民の誘導等】
1
前条第1項の場合において、市町村長は、避難住民を誘導するため必要があると認めるときは、警察署長、海上保安部長等又は自衛隊法第76条第1項、第78条第1項若しくは第81条第2項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の部隊等のうち国民の保護のための措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等若しくは同法第77条の4第1項の規定により派遣を命ぜられた自衛隊の部隊等(以下「出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等」という。)の長(政令で定める自衛隊の部隊等の長に限る。)に対し、警察官、海上保安官又は自衛官(以下「警察官等」という。)による避難住民の誘導を行うよう要請することができる。この場合において、市町村長は、その旨を当該市町村の属する都道府県の知事に通知するものとする。
第64条
【市町村長との協議等】
3
市町村長は、警察官等が当該市町村の避難住民を誘導している場合において、避難住民の生命又は身体の保護のため緊急の必要があると認めるときは、その必要な限度において、警察署長等に対し、避難住民の誘導に関し必要な措置を講ずるよう要請することができる。
⊟
参照条文
第66条
【避難住民を誘導する者による警告、指示等】
2
前項の場合において、警察官又は海上保安官は、特に必要があると認めるときは、危険な場所への立入りを禁止し、若しくはその場所から退去させ、又は当該危険を生ずるおそれのある道路上の車両その他の物件の除去その他必要な措置を講ずることができる。
第67条
【都道府県知事による避難住民の誘導に関する措置】
2
都道府県知事は、第62条第1項の規定に基づく所要の避難住民の誘導が関係市町村長により行われない場合において、住民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、当該市町村長に対し、当該所要の避難住民の誘導を行うべきことを指示することができる。
第68条
【避難住民の誘導に関する措置に係る内閣総理大臣の是正措置】
内閣総理大臣は、避難住民の誘導に関する措置に関し対策本部長が行った事態対処法第14条第1項の総合調整に基づく所要の避難住民の誘導に関する措置が関係都道府県知事により講じられない場合において、国民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に対し、当該所要の避難住民の誘導に関する措置を講ずべきことを指示することができる。
第72条
【避難住民の運送に係る総合調整のための通知】
都道府県知事又は市町村長は、指定公共機関又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前条第1項の規定による求めに応じないと認めるときは、指定公共機関にあっては対策本部長に対し、指定地方公共機関にあっては都道府県対策本部長に対し、その旨を通知することができる。
第73条
【避難住民の運送に係る内閣総理大臣等の是正措置】
1
内閣総理大臣は、避難住民の運送に関し対策本部長が行った事態対処法第14条第1項の総合調整に基づく所要の避難住民の運送が関係指定公共機関により行われない場合において、国民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該指定公共機関に対し、当該所要の避難住民の運送を行うべきことを指示することができる。
2
都道府県知事は、避難住民の運送が関係指定地方公共機関により的確かつ迅速に行われない場合において、住民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、当該指定地方公共機関に対し、所要の避難住民の運送を行うべきことを指示することができる。
3
内閣総理大臣及び都道府県知事は、第44条第1項の規定により対策本部長が発令した警報の内容に照らし指定公共機関及び指定地方公共機関の安全が確保されていると認められる場合でなければ、前二項の規定による指示を行ってはならない。
第74条
【救援の指示】
1
対策本部長は、第52条第1項の規定により避難措置の指示をしたときは、基本指針で定めるところにより、避難先地域を管轄する都道府県知事に対し、直ちに、所要の救援に関する措置を講ずべきことを指示するものとする。
第75条
【救援の実施】
1
都道府県知事は、前条の規定による指示(以下この項において「救援の指示」という。)を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該都道府県の区域内に在る避難住民等(避難住民及び武力攻撃災害による被災者をいう。以下同じ。)で救援を必要としているものに対し、避難施設その他の場所において、次に掲げる救援(以下単に「救援」という。)のうち必要と認めるものを行わなければならない。ただし、その事態に照らし緊急を要し、救援の指示を待ついとまがないと認められるときは、当該救援の指示を待たないで、これを行うことができる。
第76条
【市町村長による救援の実施等】
第78条
【通信設備の設置に関する協力】
電気通信事業者(電気通信事業法第2条第5号の電気通信事業者をいう。第135条第2項及び第156条において同じ。)である指定公共機関及び指定地方公共機関は、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、避難施設における避難住民等のための電話その他の通信設備の臨時の設置について、都道府県知事が行う救援に対して必要な協力をするよう努めなければならない。
⊟
参照条文
第81条
【物資の売渡しの要請等】
3
都道府県知事は、救援を行うに当たり、特定物資を確保するため緊急の必要があると認めるときは、当該特定物資の生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とする者に対し、その取り扱う特定物資の保管を命ずることができる。
第82条
【土地等の使用】
1
都道府県知事は、避難住民等に収容施設を供与し、又は避難住民等に対する医療の提供を行うことを目的とした臨時の施設を開設するため、土地、家屋又は物資(以下この条及び第84条第1項において「土地等」という。)を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者及び占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。
第85条
【医療の実施の要請等】
1
都道府県知事は、大規模な武力攻撃災害が発生した場合において、避難住民等に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、医師、看護師その他の政令で定める医療関係者に対し、その場所及び期間その他の必要な事項を示して、医療を行うよう要請することができる。
第88条
【救援に係る内閣総理大臣の是正措置】
1
内閣総理大臣は、救援に関し対策本部長が行った事態対処法第14条第1項の総合調整に基づく所要の救援が関係都道府県知事により行われない場合において、国民の生命、身体又は財産の保護を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に対し、当該所要の救援を行うべきことを指示することができる。
2
内閣総理大臣は、前項の規定による指示を行ってもなお所要の救援が当該関係都道府県知事により行われないとき、又は国民の生命、身体若しくは財産の保護を図るため特に必要があると認める場合であって事態に照らし緊急を要すると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該都道府県知事に通知した上で、自ら又は関係大臣を指揮し、当該所要の救援を行い、又は行わせることができる。
第91条
【外国医療関係者による医療の提供の許可】
1
厚生労働大臣は、大規模な武力攻撃災害が発生した場合において、次の各号に掲げる資格を有する者の確保が著しく困難であり、避難住民等に対して十分な医療を提供することができないと認められ、かつ、外国政府、国際機関等から医療の提供の申出があったときは、それぞれ当該各号に定める法律の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その従事する区域及び業務の内容を指定して、外国において当該各号に掲げる資格に相当する資格を有する者(第3項において「外国医療関係者」という。)が、必要な限度で医療を行うことを許可することができる。
5
許可外国医療関係者については、外国において医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師又は救急救命士に相当する資格を有する者をそれぞれ医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師又は救急救命士とみなして、政令で定める法律の規定を適用する。
6
医師法第18条、歯科医師法第18条、薬剤師法第20条又は救急救命士法第48条の規定は、許可外国医療関係者のうち、それぞれ外国において医師、歯科医師、薬剤師又は救急救命士に相当する資格を有する者については、適用しない。
第92条
【外国医薬品等の輸入の承認】
1
薬事法第14条の3の規定は、避難住民等に対する医療の提供のために必要な医薬品(同法第2条第1項の医薬品をいう。以下この項及び第3項において同じ。)又は医療機器(同条第4項の医療機器をいう。以下この項及び第3項において同じ。)の輸入について準用する。この場合において、同法第14条の3第1項中「第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が」とあるのは「厚生労働大臣は」と、「として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項」とあるのは「を輸入しようとする者に対して、第14条第2項」と、「薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目」とあるのは「その品目」と、同項第2号中「政令で定めるもの」とあるのは「厚生労働大臣が認めるもの」と読み替えるものとする。
2
厚生労働大臣は、前項において準用する薬事法第14条の3第1項の承認を与えた場合において、当該承認に係る品目の輸入の必要がなくなったと認めるとき、又は保健衛生上の危害の発生若しくはその拡大を防止するため必要があると認めるときは、当該承認を取り消すことができる。
第93条
【海外からの支援の受入れ】
1
内閣は、著しく大規模な武力攻撃災害が発生し、法律の規定によっては避難住民等の救援に係る海外からの支援を緊急かつ円滑に受け入れることができない場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは、当該支援の受入れについて必要な措置を講ずるため、政令を制定することができる。
⊟
参照条文
第94条
【市町村長及び都道府県知事による安否情報の収集】
1
市町村長は、政令で定めるところにより、避難住民及び武力攻撃災害により死亡し又は負傷した住民(当該市町村の住民以外の者で当該市町村に在るもの及び当該市町村で死亡したものを含む。)の安否に関する情報(以下「安否情報」という。)を収集し、及び整理するよう努めるとともに、都道府県知事に対し、適時に、当該安否情報を報告しなければならない。
2
都道府県知事は、前項の規定により報告を受けた安否情報を整理するほか、必要に応じて自ら安否情報を収集し、及び整理するよう努めるとともに、総務大臣に対し、遅滞なく、これらの安否情報を報告しなければならない。
第96条
【外国人に関する安否情報】
1
日本赤十字社は、その国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、総務大臣及び地方公共団体の長が保有する安否情報のうち外国人に関するものを収集し、及び整理するよう努めるとともに、外国人に関する安否情報について照会があったときは、速やかに回答しなければならない。
⊟
参照条文
第97条
【武力攻撃災害への対処】
1
国は、武力攻撃災害を防除し、及び軽減するため、基本指針で定めるところにより、自ら必要な措置を講ずるとともに、地方公共団体と協力して、武力攻撃災害への対処に関する措置(武力攻撃災害を防除し、及び軽減する措置その他武力攻撃災害による被害が最小となるようにするために実施する措置をいう。以下同じ。)を的確かつ迅速に実施しなければならない。
4
都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る武力攻撃災害が著しく大規模であること、その性質が特殊であることその他の事情により、当該武力攻撃災害を防除し、及び軽減することが困難であると認めるときは、対策本部長に対し、当該武力攻撃災害を防除し、及び軽減するため、国において必要な措置を講ずるよう要請することができる。
6
市町村長は、当該市町村の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、住民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第4項の規定による要請を行うよう求めることができる。
⊟
参照条文
第99条
【緊急通報の発令】
第100条
【関係機関への緊急通報の通知等】
1
都道府県知事は、前条第1項の規定により緊急通報を発令したときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その内容を当該都道府県の区域内の市町村の長、当該都道府県の他の執行機関並びに関係指定公共機関及び指定地方公共機関に通知しなければならない。
第102条
【生活関連等施設の安全確保】
1
都道府県知事は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、次の各号のいずれかに該当する施設で政令で定めるもの(以下この条において「生活関連等施設」という。)のうち当該都道府県の区域内に所在するものの安全の確保が特に必要であると認めるときは、関係機関の意見を聴いて、当該生活関連等施設の管理者に対し、当該生活関連等施設の安全の確保のため必要な措置を講ずるよう要請することができる。
2
指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、生活関連等施設の安全の確保が緊急に必要であると認めるときは、関係機関の意見を聴いて、自ら前項の規定による要請を行うことができる。この場合において、当該要請を行ったときは、直ちに、その旨を当該生活関連等施設の所在する都道府県の知事に通知しなければならない。
3
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長等は、武力攻撃事態等においては、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、生活関連等施設のうちその管理に係るものについて、警備の強化その他当該生活関連等施設の安全の確保に関し必要な措置を講じなければならない。
5
都道府県公安委員会又は海上保安部長等は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、都道府県知事から要請があったとき、又は事態に照らして特に必要があると認めるときは、生活関連等施設の敷地及びその周辺の区域のうち、当該生活関連等施設の安全を確保するため立入りを制限する必要があるものを、立入制限区域として指定することができる。
6
都道府県公安委員会及び海上保安部長等は、前項の立入制限区域を指定したときは、速やかに、その旨を生活関連等施設の管理者に通知するとともに、その立入制限区域の範囲、立入りを制限する期間その他必要な事項を公示しなければならない。
7
警察官又は海上保安官は、第5項の立入制限区域が指定されたときは、特に生活関連等施設の管理者の許可を得た者以外の者に対し、当該立入制限区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該立入制限区域からの退去を命ずることができる。
8
内閣総理大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、生活関連等施設及びその周辺の地域の安全の確保が特に必要であると認めるときは、対処基本方針に基づき、関係大臣を指揮し、危険の防除、周辺住民の避難その他当該生活関連等施設の安全の確保に関し必要な措置を講じさせることができる。この場合において、国家公安委員会は、関係都道府県公安委員会に対し、第5項の規定による立入制限区域の指定について必要な指示をすることができる。
第103条
【危険物質等に係る武力攻撃災害の発生の防止】
1
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長は、武力攻撃事態等において、引火若しくは爆発又は空気中への飛散若しくは周辺地域への流出により人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがある物質(生物を含む。)で政令で定めるもの(以下この条及び第107条において「危険物質等」という。)に係る武力攻撃災害の発生を防止するため必要があると認めるときは、この法律その他法令の規定に基づき、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該危険物質等に係る武力攻撃災害の発生を防止するため必要な措置を講じなければならない。
4
指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長は、前項の措置を講ずべきことを命ずるため必要があると認めるときは、危険物質等の取扱者に対し、危険物質等の管理の状況について報告を求めることができる。
第104条
【石油コンビナート等に係る武力攻撃災害への対処】
武力攻撃に伴って発生した石油コンビナート等特別防災区域(石油コンビナート等災害防止法第2条第2号の石油コンビナート等特別防災区域をいう。)に係る災害への対処に関する同法の規定の適用については、同法第23条第1項及び第24条中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「石油コンビナート等防災計画(特定事業者が指定公共機関又は指定地方公共機関である場合にあつては、その国民の保護に関する業務計画及び石油コンビナート等防災計画)」と、同法第23条第2項中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「当該市町村の国民の保護に関する計画及び石油コンビナート等防災計画」と、「石油コンビナート等防災本部」とあるのは「都道府県知事、石油コンビナート等防災本部」と、同法第26条中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画及び石油コンビナート等防災計画」と、「石油コンビナート等防災本部」とあるのは「都道府県知事及び石油コンビナート等防災本部」とする。
⊟
参照条文
第105条
【武力攻撃原子力災害への対処】
1
原子力防災管理者(原子力災害対策特別措置法第9条第1項の原子力防災管理者をいう。第192条第2号において同じ。)は、武力攻撃に伴って、放射性物質又は放射線が原子力事業所(同法第2条第4号の原子力事業所をいう。第7項において同じ。)外(事業所外運搬(同条第2号の事業所外運搬をいう。以下同じ。)の場合にあっては、当該運搬に使用する容器外。第7項において同じ。)へ放出され、又は放出されるおそれがあると認めるときは、政令で定めるところにより、直ちに、その旨を内閣総理大臣及び原子力規制委員会、所在都道府県知事(同法第7条第2項の所在都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)、所在市町村長(同項の所在市町村長をいう。第3項及び第4項において同じ。)並びに関係周辺都道府県知事(同条第2項の関係周辺都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)に(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、内閣総理大臣、原子力規制委員会及び国土交通大臣並びに当該事実が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長に)通報しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は、関係周辺市町村長(同項の関係周辺市町村長をいう。)にその旨を通報するものとする。
2
内閣総理大臣及び原子力規制委員会(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、内閣総理大臣、原子力規制委員会及び国土交通大臣)は、前項前段の規定による通報を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その旨を対策本部長に報告するとともに、関係指定公共機関に通知しなければならない。
4
第2項の規定は、内閣総理大臣及び原子力規制委員会(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、内閣総理大臣、原子力規制委員会及び国土交通大臣。以下この項において同じ。)が第1項に規定する事実があると認めるとき、又は内閣総理大臣及び原子力規制委員会が前項の規定による通報を受けたときについて準用する。この場合において、内閣総理大臣及び原子力規制委員会は、併せて所在都道府県知事、所在市町村長及び関係周辺都道府県知事並びに原子力事業者(原子力災害対策特別措置法第2条第3号の原子力事業者をいう。第13項において同じ。)に通知しなければならない。
7
11
都道府県知事は、第7項の公示があった場合において、武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大を防止するため必要があると認めるときは、市町村長に対し、所要の応急対策を実施すべきことを指示することができる。
13
原子力災害対策特別措置法第25条の規定は第1項に規定する事実が発生した場合について、同法第26条の規定は第7項の公示があった場合について、同法第27条の規定は前項の規定による公示があった場合について準用する。この場合において、同法第25条第1項中「第10条第1項の政令で定める事象」とあるのは「第1項に規定する事実」と、同項及び同条第2項中「の定めるところにより」とあるのは「で定める例により」と、同条第1項並びに同法第26条第1項第1号、第2号及び第5号中「原子力災害」とあるのは「武力攻撃原子力災害」と、同法第25条第2項中「事象」とあるのは「事実」と、同法第26条(見出しを含む。)中「緊急事態応急対策」とあるのは「応急対策」と、同条第1項第1号中「原子力緊急事態宣言」とあるのは「第7項の公示の内容」と、「避難の勧告又は指示」とあるのは「住民の避難」と、同項第8号中「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止」とあるのは「武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大の防止」と、同条第2項中「原子力緊急事態宣言」とあるのは「第7項の公示」と、「原子力緊急事態解除宣言」とあるのは「前項の規定による公示」と、同項及び同法第27条第2項中「指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関」とあるのは「指定行政機関の長等」と、「法令、防災計画、原子力災害対策指針又は原子力事業者防災業務計画の定めるところにより」とあるのは「法令の規定に基づき、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより(原子力事業者については、原子力事業者防災業務計画で定める例により)」と、同法第26条第3項及び第27条第3項中「法令、防災計画、原子力災害対策指針又は原子力事業者防災業務計画の定めるところにより」とあるのは「法令若しくは指定行政機関及び地方公共団体の国民の保護に関する計画で定めるところにより、又は原子力事業者防災業務計画で定める例により」と、「地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「地方公共団体の長等」と、同条の見出し並びに同条第2項及び第3項中「原子力災害事後対策」とあるのは「事後対策」と、同条第1項中「原子力災害事後対策は」とあるのは「事後対策(前項の規定による公示があった時以後において、武力攻撃原子力災害の発生若しくはその拡大の防止又は武力攻撃原子力災害の復旧を図るため実施すべき対策をいう。以下この条において同じ。)は」と、同項第1号及び第3号中「原子力災害事後対策実施区域」とあるのは「応急対策実施区域その他所要の区域」と、同項第4号中「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止又は原子力災害の復旧」とあるのは「武力攻撃原子力災害の発生若しくはその拡大の防止又は武力攻撃原子力災害の復旧」と読み替えるものとする。
14
原子力防災専門官(原子力災害対策特別措置法第30条第1項の原子力防災専門官をいう。)は、第1項前段又は第3項の規定による通報があったときは、その状況の把握のため必要な情報の収集、地方公共団体が行う情報の収集に関する助言その他武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大の防止の円滑な実施に必要な業務を行うものとする。
第106条
【原子炉等に係る武力攻撃災害の発生等の防止】
原子力規制委員会(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、原子力規制委員会及び国土交通大臣)は、武力攻撃事態等において、核燃料物質(原子力基本法第3条第2号の核燃料物質をいう。以下この条において同じ。)若しくは核燃料物質によって汚染された物又は原子炉(同条第4号の原子炉をいう。以下この条において同じ。)に係る武力攻撃災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため緊急の必要があると認めるときは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第64条第1項に規定する者に対し、同条第3項各号に掲げる区分に応じ、同項の製錬施設、加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設若しくは廃棄物管理施設又は使用施設の使用の停止、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の所在場所の変更その他当該核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は原子炉に係る武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
⊟
参照条文
第107条
【放射性物質等による汚染の拡大の防止】
1
内閣総理大臣は、武力攻撃に伴って放射性物質、放射線、サリン等(サリン等による人身被害の防止に関する法律第2条に規定するサリン等をいう。)若しくはこれと同等以上の毒性を有すると認められる化学物質、生物剤(細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第2条第1項に規定する生物剤をいう。)若しくは毒素(同条第2項に規定する毒素をいう。)又は危険物質等による汚染(以下単に「汚染」という。)が生じたことにより、人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがあると認めるときは、対処基本方針に基づき、関係大臣を指揮し、汚染の発生の原因となる物の撤去、汚染の除去その他汚染の拡大を防止するため必要な措置を講じさせなければならない。この場合において、国民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、併せて被災者の救難及び救助に関する措置その他必要な措置を講じさせなければならない。
3
前項の場合において、都道府県知事は、汚染の拡大を防止するための措置を迅速に講ずる必要があると認めるときは、関係市町村長、関係消防組合の管理者若しくは長又は警視総監若しくは道府県警察本部長に対し、必要な協力を要請することができる。
第108条
第109条
【土地等への立入り】
1
指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事は、前二条の規定による措置を講ずるため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その職員に、他人の土地、建物その他の工作物又は船舶若しくは航空機(次項において「土地等」という。)に立ち入らせることができる。
第111条
【市町村長の事前措置等】
1
市町村長は、武力攻撃災害が発生するおそれがあるときは、武力攻撃災害が発生した場合においてこれを拡大させるおそれがあると認められる設備又は物件の占有者、所有者又は管理者に対し、武力攻撃災害の拡大を防止するため必要な限度において、当該設備又は物件の除去、保安その他必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
⊟
参照条文
第112条
【市町村長の退避の指示等】
1
市町村長は、武力攻撃災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該武力攻撃災害から住民の生命、身体若しくは財産を保護し、又は当該武力攻撃災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、必要と認める地域の住民に対し、退避(屋内への退避を含む。第4項において同じ。)をすべき旨を指示することができる。
第113条
【応急公用負担等】
1
市町村長は、当該市町村の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
2
市町村長は、当該市町村の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、武力攻撃災害を受けた現場の工作物又は物件で当該武力攻撃災害への対処に関する措置の実施の支障となるもの(以下この項及び次項において「工作物等」という。)の除去その他必要な措置を講ずることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、当該工作物等を保管しなければならない。
5
災害対策基本法第64条第7項から第10項までの規定は、第1項及び第2項前段の場合について準用する。この場合において、同条第7項及び第9項中「前条第2項」とあるのは「災害対策基本法第63条第2項」と、同条第7項において準用する同法第63条第2項中「その委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の職員が現場にいないとき」とあるのは「都道府県知事による同項に規定する措置を待ついとまがないと認めるとき」と、「要求」とあるのは「要請」と、同法第64条第8項及び第9項中「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」とあるのは「出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官」と、同項及び同条第10項中「警察署長等」とあるのは「警察署長若しくは海上保安部長等」と、同条第9項中「内閣府令で定める」とあるのは「政令で定める」と、同条第10項中「政令で定める管区海上保安本部の事務所の長」とあるのは「海上保安部長等」と読み替えるものとする。
第114条
【警戒区域の設定】
1
市町村長は、武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、当該武力攻撃災害による住民の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずる者以外の者に対し、当該警戒区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該警戒区域からの退去を命ずることができる。
第115条
【消火、負傷者の搬送、被災者の救助等への協力】
第117条
【武力攻撃災害が発生した場合等の都道府県知事等の指示】
1
都道府県知事は、武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、緊急の必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長若しくは消防長又は水防管理者(水防法第2条第2項の水防管理者をいう。)に対し、所要の武力攻撃災害の防御に関する措置を講ずべきことを指示することができる。
2
消防庁長官は、人命の救助等のために特に緊急を要し、前項の規定による都道府県知事の指示を待ついとまがないと認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長に対し、武力攻撃災害を防御するための消防に関する措置を講ずべきことを自ら指示することができる。この場合において、消防庁長官は、当該都道府県知事に対し、速やかに、その旨を通知するものとする。
⊟
参照条文
第119条
【消防の応援等に関する消防庁長官等の指示】
1
消防庁長官は、武力攻撃災害が発生した市町村(武力攻撃災害がまさに発生しようとしている市町村を含む。以下この条において「被災市町村」という。)の消防の応援又は支援(以下この項及び次項において「消防の応援等」という。)に関し、当該被災市町村の属する都道府県の知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該被災市町村の消防の応援等のため必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
3
都道府県知事は、前二項の規定による消防庁長官の指示に応じ必要な措置を講ずる場合において、必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長に対し、消防機関の職員の応援出動等の措置を講ずべきことを指示することができる。
4
消防庁長官は、第1項又は第2項の場合において、人命の救助等のために特に緊急を要し、かつ、広域的に消防機関の職員の応援出動等の措置を的確かつ迅速に講ずる必要があると認められるときは、緊急に当該応援出動等の措置を必要とすると認められる被災市町村のため、当該被災市町村以外の市町村の長に対し、当該応援出動等の措置を講ずべきことを自ら指示することができる。この場合において、消防庁長官は、第1項の場合にあっては当該応援出動等の措置を講ずべきことを指示した市町村の属する都道府県の知事に対し、第2項の場合にあっては当該都道府県の知事及び当該被災市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかに、その旨を通知するものとする。
⊟
参照条文
第120条
【消防等に関する安全の確保】
消防庁長官及び都道府県知事は、前三条の規定による指示をするときは、これらの規定に規定する措置を講ずるため出動する職員の安全の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。
⊟
参照条文
第121条
【感染症等の指定等の特例】
1
厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って既に知られている感染性の疾病(一類感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第2項の1類感染症をいう。)を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該疾病について、同法第3章から第7章までの規定の全部又は一部を準用しなければ国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、同条第8項の規定にかかわらず、当該疾病を同項の指定感染症として指定することができる。この場合における同法第7条の規定の適用については、同条第1項及び第2項中「政令で定める期間」とあるのは「厚生労働大臣の定める期間」と、同条第1項中「政令で定めるところにより」とあるのは「厚生労働大臣の定めるところにより」と、同条第2項中「前項の政令で定められた期間」とあるのは「前項の厚生労働大臣の定める期間」と、「当該政令で定められた疾病」とあるのは「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第121条第1項の規定により厚生労働大臣が定めた疾病」と、「同項の政令により」とあるのは「前項の厚生労働大臣の定めるところにより」とする。
2
厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って検疫法第2条の検疫感染症以外の感染性の疾病(同法第34条の2第1項の新感染症を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該疾病について、検疫を行わなければその病原体が国内に侵入し国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、同法第34条の規定にかかわらず、当該疾病を感染症の種類として指定し、同法第2条の2、第2章及び第4章(第34条の2から第40条までを除く。)の規定のうち厚生労働大臣が定めるものを適用することができる。この場合においては、同法第16条第3項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、当該感染症の潜伏期間を考慮して、同条第1項の停留の期間を定めることができる。
3
厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って感染性の疾病(予防接種法第2条第2項のA類疾病(以下この項において「A類疾病」という。)及び同条第3項のB類疾病を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その発生及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認めるときは、同条第2項第12号の規定にかかわらず、当該疾病をA類疾病として指定することができる。
⊟
参照条文
第122条
【埋葬及び火葬の特例】
厚生労働大臣は、大規模な武力攻撃災害の発生により埋葬又は火葬を円滑に行うことが困難となった場合において、公衆衛生上の危害の発生を防止するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める期間に限り、墓地、埋葬等に関する法律第5条及び第14条に規定する手続の特例を定めることができる。
第123条
【保健衛生の確保への協力】
1
地方公共団体の長又はその職員は、武力攻撃災害の発生により当該地方公共団体の区域内における住民の健康の保持又は環境衛生の確保に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、当該地方公共団体の区域内の住民に対し、その実施に必要な援助について協力を要請することができる。
2
前項の場合において、地方公共団体の長及びその職員は、その要請を受けて住民の健康の保持又は環境衛生の確保に関する措置の実施に必要な援助について協力をする者の安全の確保に十分に配慮しなければならない。
第124条
【廃棄物処理の特例】
1
環境大臣は、大規模な武力攻撃災害の発生による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認めるときは、期間を限り、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(次項及び第3項において「廃棄物処理法」という。)第2条第1項の廃棄物をいう。以下この条において同じ。)の処理を迅速に行わなければならない地域を特例地域として指定することができる。
2
環境大臣は、前項の特例地域(以下この条において単に「特例地域」という。)を指定したときは、特例地域において適用する廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準並びに廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準を定めるものとする。この場合において、これらの基準(以下この条において「特例基準」という。)は、廃棄物処理法第6条の2第2項及び第3項、第12条第1項並びに第12条の2第1項に規定する基準とみなす。
⊟
参照条文
第125条
【文化財保護の特例】
1
文化庁長官は、武力攻撃災害による重要文化財等(重要文化財(文化財保護法第27条第1項の重要文化財をいう。)、重要有形民俗文化財(同法第78条第1項の重要有形民俗文化財をいう。)又は史跡名勝天然記念物(同法第109条第1項の史跡名勝天然記念物をいう。)をいう。以下この項及び第3項において同じ。)の滅失、き損その他の被害を防止するため特に必要があると認めるときは、当該重要文化財等の所有者、管理責任者(同法第31条第2項(同法第80条において準用する場合を含む。)及び同法第119条第2項の管理責任者をいう。)、管理団体(同法第32条の2第5項(同法第80条において準用する場合を含む。)及び同法第115条第1項の管理団体をいう。)又は同法第172条第1項の規定により重要文化財等を管理する地方公共団体その他の法人(以下この条において「所有者等」という。)に対し、当該重要文化財等について、所在の場所又は管理の方法の変更その他その保護に関し必要な措置を講ずべきことを命じ、又は勧告することができる。
4
第1項の場合において、国宝(文化財保護法第27条第2項の国宝をいう。以下この条及び第192条第3号において同じ。)若しくは特別史跡名勝天然記念物(同法第109条第2項の特別史跡名勝天然記念物をいう。以下この条及び第192条第3号において同じ。)の所有者等が第1項の規定による命令に従わないとき、又は所有者等に国宝若しくは特別史跡名勝天然記念物の滅失、き損その他の被害を防止するための措置を講じさせることが適当でないと認めるときは、文化庁長官は、当該国宝又は特別史跡名勝天然記念物について、自ら滅失、き損その他の被害を防止するため必要な措置を講ずることができる。
7
国宝又は特別史跡名勝天然記念物の所有者等は、正当な理由がなくて、第4項の規定に基づいて文化庁長官が講ずる措置又は第5項において準用する文化財保護法第186条第1項の規定による委託に基づいて都道府県の教育委員会が講ずる措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
第126条
【被災情報の収集】
第129条
【生活関連物資等の価格の安定等】
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長は、武力攻撃事態等において、国民生活との関連性が高い物資若しくは役務又は国民経済上重要な物資若しくは役務の価格の高騰又は供給不足が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、国民生活安定緊急措置法、物価統制令その他法令の規定に基づく措置その他適切な措置を講じなければならない。
⊟
参照条文
第130条
【金銭債務の支払猶予等】
第131条
【特定武力攻撃災害の被害者の権利利益の保全等】
特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条から第9条までの規定は、著しく異常かつ激甚な武力攻撃災害が発生した場合について準用する。この場合において、同法第2条の見出し、第8条及び第9条中「特定非常災害」とあるのは「特定武力攻撃災害」と、同法第2条第1項中「当該非常災害」とあるのは「当該武力攻撃災害」と、「特定非常災害と」とあるのは「特定武力攻撃災害と」と、「特定非常災害が」とあるのは「特定武力攻撃災害が」と、同項、同法第3条第1項、第4条第1項、第5条第1項及び第5項、第6条並びに第7条中「特定非常災害発生日」とあるのは「特定武力攻撃災害発生日」と、同法第2条第2項、第4条第1項及び第2項、第5条第1項、第6条並びに第7条中「特定非常災害に」とあるのは「特定武力攻撃災害に」と、同法第3条第1項及び第3項中「特定非常災害の」とあるのは「特定武力攻撃災害の」と読み替えるものとする。
第134条
【電気及びガス並びに水の安定的な供給】
1
電気事業者(電気事業法第2条第1項第10号の電気事業者をいう。)及びガス事業者(ガス事業法第2条第11項のガス事業者をいう。)である指定公共機関及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等において、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、電気及びガスを安定的かつ適切に供給するため必要な措置を講じなければならない。
2
水道事業者(水道法第3条第5項の水道事業者をいう。)、水道用水供給事業者(同項の水道用水供給事業者をいう。)及び工業用水道事業者(工業用水道事業法第2条第5項の工業用水道事業者をいう。)である地方公共団体及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等において、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、水を安定的かつ適切に供給するため必要な措置を講じなければならない。
⊟
参照条文
第135条
【運送、通信及び郵便等の確保】
1
運送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等において、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、旅客及び貨物の運送を確保するため必要な措置を講じなければならない。
2
電気通信事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等において、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、通信を確保し、及び国民の保護のための措置の実施に必要な通信を優先的に取り扱うため必要な措置を講じなければならない。
3
郵便事業を営む者及び一般信書便事業者(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第6項の1般信書便事業者をいう。)である指定公共機関及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等において、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、郵便及び信書便を確保するため必要な措置を講じなければならない。
第138条
【武力攻撃災害に関する指導、助言等】
災害に関する研究を業務として行う指定公共機関は、その国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、国、地方公共団体及び他の指定公共機関に対し、武力攻撃災害の防除、軽減及び復旧に関する指導、助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
⊟
参照条文
第139条
【応急の復旧】
指定行政機関の長等は、その管理する施設及び設備について武力攻撃災害による被害が発生したときは、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、当該施設及び設備について、応急の復旧のため必要な措置を講じなければならない。
⊟
参照条文
第140条
【応急の復旧に関する支援の求め】
前条の場合において、都道府県知事等又は指定公共機関は指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長に対し、市町村長等又は指定地方公共機関は都道府県知事等に対し、応急の復旧のため必要な措置に関し支援を求めることができる。
⊟
参照条文
第142条
【避難及び救援に必要な物資及び資材の備蓄等】
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長等は、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、住民の避難及び避難住民等の救援に必要な物資及び資材を備蓄し、整備し、若しくは点検し、又は住民の避難及び避難住民等の救援に必要なその管理に属する施設及び設備を整備し、若しくは点検しなければならない。
⊟
参照条文
第144条
【物資及び資材の供給の要請】
都道府県知事又は市町村長は、住民の避難及び避難住民等の救援に当たって、その備蓄する物資又は資材が不足し、国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することが困難であると認めるときは、都道府県知事にあっては指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長に対し、市町村長にあっては都道府県知事に対し、それぞれ必要な物資又は資材の供給について必要な措置を講ずるよう要請することができる。
⊟
参照条文
第145条
【国民の保護のための措置に必要な物資及び資材の備蓄等】
指定行政機関の長等は、第142条に規定するもののほか、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、その所掌事務又は業務に係る国民の保護のための措置の実施に必要な物資及び資材を備蓄し、整備し、若しくは点検し、又は当該国民の保護のための措置の実施に必要なその管理に属する施設及び設備を整備し、若しくは点検しなければならない。
⊟
参照条文
第151条
【職員の派遣の要請】
1
地方公共団体の長等は、国民の保護のための措置の実施のため必要があるときは、政令で定めるところにより、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は特定指定公共機関(指定公共機関である特定独立行政法人(独立行政法人通則法第2条第2項の特定独立行政法人をいう。)をいう。以下この項及び第153条において同じ。)に対し、当該指定行政機関若しくは指定地方行政機関又は特定指定公共機関の職員の派遣を要請することができる。
第152条
【職員の派遣のあっせん】
2
都道府県知事等又は市町村長等は、国民の保護のための措置の実施のため必要があるときは、政令で定めるところにより、総務大臣又は都道府県知事に対し、都道府県知事等にあっては地方自治法第252条の17第1項の職員の派遣について、市町村長等にあっては同項の職員又は地方独立行政法人法第91条第1項の職員(指定地方公共機関である同法第2条第2項の特定地方独立行政法人(次条において「特定指定地方公共機関」という。)の職員に限る。)の派遣について、あっせんを求めることができる。
第153条
【職員の派遣義務】
第154条
【職員の身分取扱い】
災害対策基本法第32条の規定は、前条又は他の法律の規定により国民の保護のための措置の実施のため派遣された職員の身分取扱いについて準用する。この場合において、同法第32条第1項中「災害派遣手当」とあるのは、「武力攻撃災害等派遣手当」と読み替えるものとする。
第155条
【交通の規制等】
1
都道府県公安委員会は、住民の避難、緊急物資の運送その他の国民の保護のための措置が的確かつ迅速に実施されるようにするため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、区域又は道路の区間を指定して、緊急通行車両(道路交通法第39条第1項の緊急自動車その他の車両で国民の保護のための措置の的確かつ迅速な実施のためその通行を確保することが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。)以外の車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
2
災害対策基本法第76条第2項及び第76条の2から第76条の4までの規定は、前項の規定による通行の禁止又は制限について準用する。この場合において、同法第76条の2第5項中「前条第1項」とあり、同法第76条の3第5項中「第76条第1項」とあるのは「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第155条第1項」と、同条第1項、第3項及び第4項並びに同法第76条の4中「災害応急対策」とあるのは「国民の保護のための措置」と、同法第76条の3第3項及び第6項中「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」とあるのは「出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官」と読み替えるものとする。
第156条
【電気通信設備の優先利用等】
指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長は、国民の保護のための措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるときは、電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法第3条第4項第4号に掲げる者が設置する有線電気通信設備若しくは無線設備を使用することができる。
第157条
【赤十字標章等の交付等】
2
指定行政機関の長又は都道府県知事は、武力攻撃事態等においては、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(次項及び第4項において「赤十字標章法」という。)第1条及び前項の規定にかかわらず、指定行政機関の長にあっては避難住民等の救援の支援を行う当該指定行政機関の長が所管する医療機関又は当該指定行政機関の職員(その管轄する指定地方行政機関の職員を含む。次条第2項第1号において同じ。)である医療関係者(第85条第1項の政令で定める医療関係者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に対し、都道府県知事にあってはその管理の下に避難住民等の救援を行う医療機関若しくは医療関係者又は当該避難住民等の救援に必要な援助について協力をする医療機関若しくは医療関係者に対し、これらの者(これらの者の委託により医療に係る業務を行う者を含む。以下この項において同じ。)又はこれらの者が行う医療のために使用される場所若しくは車両、船舶、航空機等(次項及び次条において「場所等」という。)を識別させるため、赤十字標章等(白地に赤十字、赤新月又は赤のライオン及び太陽の標章をいう。次項及び第4項において同じ。)、特殊信号又は身分証明書を交付し、又は使用させることができる。
3
前項に規定する医療機関及び医療関係者以外の医療機関及び医療関係者は、武力攻撃事態等においては、赤十字標章法第1条及び第1項の規定にかかわらず、これらの者(これらの者の委託により医療に係る業務を行う者を含む。以下この項において同じ。)又はこれらの者が行う医療のために使用される場所等を識別させるため、あらかじめ、医療機関である指定公共機関にあっては当該指定公共機関を所管する指定行政機関の長の、医療機関である指定地方公共機関にあっては当該指定地方公共機関を指定した都道府県知事の、その他の医療機関及び医療関係者にあっては当該者が医療を行う地域を管轄する都道府県知事の許可を受けて、赤十字標章等、特殊信号又は身分証明書を使用することができる。
第158条
【特殊標章等の交付等】
2
次の各号に掲げる者(以下この項において「指定行政機関長等」という。)は、武力攻撃事態等においては、前項の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める職員で国民の保護のための措置に係る職務を行うもの(指定行政機関長等の委託により国民の保護のための措置に係る業務を行う者を含む。)又は指定行政機関長等が実施する国民の保護のための措置の実施に必要な援助について協力をする者に対し、これらの者又は当該国民の保護のための措置に係るこれらの者が行う職務、業務若しくは協力のために使用される場所等を識別させるため、特殊標章又は身分証明書を交付し、又は使用させることができる。
3
指定公共機関又は指定地方公共機関は、武力攻撃事態等においては、第1項の規定にかかわらず、当該指定公共機関若しくは指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置に係る業務を行う者(当該指定公共機関又は指定地方公共機関の委託により国民の保護のための措置に係る業務を行う者を含む。)若しくは当該指定公共機関若しくは指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置の実施に必要な援助について協力をする者又は当該国民の保護のための措置に係るこれらの者が行う業務若しくは協力のために使用される場所等を識別させるため、あらかじめ、指定公共機関にあっては当該指定公共機関を所管する指定行政機関の長の、指定地方公共機関にあっては当該指定地方公共機関を指定した都道府県知事の許可を受けて、特殊標章又は身分証明書を使用することができる。
第161条
【総合調整及び指示に係る損失の補てん】
1
国は、国民の保護のための措置(第141条に規定する武力攻撃災害の復旧に関する措置を除く。)の実施に関し、都道府県又は指定公共機関に対し、事態対処法第14条第1項の規定により対策本部長が総合調整を行い、又は第56条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)、第60条第1項、第68条、第73条第1項(第79条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第88条第1項の規定により内閣総理大臣が指示をした場合において、当該総合調整又は指示に基づく措置の実施に当たって当該都道府県又は指定公共機関が損失を受けたときは、それぞれ、当該都道府県又は指定公共機関に対し、政令で定めるところにより、その損失を補てんしなければならない。ただし、当該都道府県又は指定公共機関の責めに帰すべき事由により損失が生じたときは、この限りでない。
2
都道府県は、国民の保護のための措置の実施に関し、市町村又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関に対し、第29条第1項の規定により都道府県対策本部長が総合調整を行い、又は第67条第2項(第69条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第73条第2項(第79条第2項において準用する場合を含む。)の規定により都道府県知事が指示をした場合において、当該総合調整又は指示に基づく措置の実施に当たって当該市町村又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関が損失を受けたときは、それぞれ、当該市町村又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関に対し、政令で定めるところにより、その損失を補てんしなければならない。ただし、当該市町村又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関の責めに帰すべき事由により損失が生じたときは、この限りでない。
第162条
【被災者の公的徴収金の減免等】
2
地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、又は当該地方公共団体の条例で定めるところにより、武力攻撃災害による被災者の地方税その他地方公共団体の徴収金について、軽減若しくは免除又は徴収猶予その他必要な措置を講ずることができる。
⊟
参照条文
第163条
【国有財産等の貸付け等の特例】
第165条
【他の地方公共団体の長等の応援に要する費用の支弁】
2
前項の場合において、当該応援を受けた地方公共団体の長等の属する地方公共団体が当該費用を支弁するいとまがないときは、当該地方公共団体は、当該応援をする他の地方公共団体の長等の属する地方公共団体に対し、当該費用を一時的に立て替えて支弁するよう求めることができる。
第167条
【市町村長が救援の事務を行う場合の費用の支弁】
1
都道府県は、都道府県知事が第76条第1項の規定によりその権限に属する救援の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととしたときは、当該市町村長による救援の実施に要する費用を支弁しなければならない。
2
都道府県知事は、第76条第1項の規定によりその権限に属する救援の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととしたとき、又は都道府県が救援の実施に要する費用を支弁するいとまがないときは、救援を必要とする避難住民等の現在地の市町村に救援の実施に要する費用を一時的に立て替えて支弁させることができる。
第168条
【国及び地方公共団体の費用の負担】
1
第169条
【国の補助】
国は、地方公共団体が国民の保護のための措置その他この法律の規定に基づいて実施する措置に要する費用で前条第3項の規定により当該地方公共団体が負担するものについて、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。
⊟
参照条文
第170条
【起債の特例】
⊟
参照条文
第172条
【国、地方公共団体等の責務】
1
国は、国民の安全を確保するため、緊急対処事態(事態対処法第25条第1項の緊急対処事態をいう。以下同じ。)においては、その組織及び機能のすべてを挙げて自ら緊急対処保護措置(緊急対処事態対処方針(同項の緊急対処事態対処方針をいう。以下同じ。)が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関が第183条において準用するこの法律の規定に基づいて実施する事態対処法第25条第3項第2号に掲げる措置(緊急対処事態対処方針が廃止された後これらの者が法律の規定に基づいて実施する被害の復旧に関する措置を含む。)その他これらの者が当該措置に関し国民の保護のための措置に準じて法律の規定に基づいて実施する措置をいう。以下同じ。)を的確かつ迅速に実施し、又は地方公共団体及び指定公共機関が実施する緊急対処保護措置を的確かつ迅速に支援し、並びに緊急対処保護措置に関し国費による適切な措置を講ずること等により、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する。
第174条
【基本的人権の尊重】
2
前項に規定する緊急対処保護措置を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該緊急対処保護措置を実施するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われるものとし、いやしくも国民を差別的に取り扱い、並びに思想及び良心の自由並びに表現の自由を侵すものであってはならない。
第177条
【都道府県の実施する緊急対処保護措置】
1
都道府県知事は、緊急対処事態対処方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該都道府県の区域に係る緊急対処保護措置を実施しなければならない。
2
都道府県の委員会及び委員は、緊急対処事態対処方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、都道府県知事の所轄の下にその所掌事務に係る緊急対処保護措置を実施しなければならない。
⊟
参照条文
第178条
【市町村の実施する緊急対処保護措置】
1
市町村長は、緊急対処事態対処方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該市町村の区域に係る緊急対処保護措置を実施しなければならない。
2
市町村の委員会及び委員は、緊急対処事態対処方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、市町村長の所轄の下にその所掌事務に係る緊急対処保護措置を実施しなければならない。
⊟
参照条文
第179条
【指定公共機関及び指定地方公共機関の実施する緊急対処保護措置】
1
指定公共機関及び指定地方公共機関は、緊急対処事態対処方針が定められたときは、この法律その他法令の規定に基づき、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、その業務に係る緊急対処保護措置を実施しなければならない。
⊟
参照条文
第181条
【緊急対処事態対策本部の所掌事務等】
1
緊急対処事態対策本部(事態対処法第26条第1項の緊急対処事態対策本部をいう。次項において同じ。)は、事態対処法第27条において準用する事態対処法第12条第1号に掲げるもののほか、次に掲げる事務をつかさどる。
第182条
【基本指針等の必要記載事項】
3
都道府県知事及び市町村長が前項の規定により緊急対処保護措置の実施に関し必要な事項を定める場合における第37条第2項及び第39条第2項の規定の適用については、第37条第2項第1号及び第39条第2項第1号中「国民の保護のための措置」とあるのは、「国民の保護のための措置(緊急対処保護措置を含む。)」とする。
⊟
参照条文
第183条
【準用】
第7条、第8条及び第9条第1項、第1章第2節(第10条、第11条、第16条、第21条及び第22条を除く。)及び第3節(第24条並びに第29条第4項及び第7項を除く。)、第42条、第2章(第56条、第60条、第68条及び第73条第1項を除く。)、第3章(第88条及び第93条を除く。)、第4章、第5章第2節及び第3節、第141条、第143条、第144条、第147条及び第151条から第156条まで並びに第7章(第161条第1項を除く。)の規定は、緊急対処事態及び緊急対処保護措置について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第185条
【特別区についてのこの法律の適用等】
2
第62条第2項から第4項まで(これらの規定を第69条第2項(第183条において準用する場合を含む。)及び第183条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)並びに第66条第1項及び第70条(これらの規定を第183条において準用する場合を含む。)の規定は、特別区の長が避難住民を誘導する場合について準用する。この場合において、第62条第2項中「消防に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合(以下「消防組合」という。)の管理者又は長(地方自治法第287条の3第2項(同法第291条の13において準用する場合を含む。)の規定により管理者又は長に代えて理事会を置く消防組合にあっては、理事。以下同じ。)」とあり、同条第4項中「当該消防組合の管理者又は長」とあるのは「都知事」と、同条第2項及び第4項中「当該消防組合を組織する市町村」とあるのは「特別区」と、「当該市町村」とあるのは「当該特別区」と、「当該消防組合の消防長」とあるのは「特別区の消防長」と、「消防団長」とあるのは「当該特別区の消防団長」と読み替えるものとする。
第186条
【事務の区分】
この法律の規定により地方公共団体が処理することとされている事務(都道府県警察が処理することとされているものを除く。)は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
附則
第2条
(調整規定)
文化財保護法の一部を改正する法律の施行の日の前日までの間における第百二十五条の規定の適用については、同条第一項中「第七十八条第一項」とあるのは「第五十六条の十第一項」と、「第百九条第一項」とあるのは「第六十九条第一項」と、「第八十条」とあるのは「第五十六条の十二」と、「第百十九条第二項」とあるのは「第七十四条第二項」と、「第百十五条第一項」とあるのは「第七十二条第一項」と、「第百七十二条第一項」とあるのは「第九十五条第一項」と、同条第二項中「第百八十八条第三項」とあるのは「第百三条第三項」と、同条第四項中「第百九条第二項」とあるのは「第六十九条第二項」と、同条第五項から第七項までの規定中「第百八十六条第一項」とあるのは「第百一条第一項」とする。
附則
平成17年10月21日
第117条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為、この附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為、この法律の施行後附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便為替法第三十八条の八(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替法第七十条(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第二十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替預り金寄附委託法第八条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第三十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第四十二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十一条及び第七十二条(第十五号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為並びに附則第二条第二項の規定の適用がある場合における郵政民営化法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成18年12月8日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条中感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律目次の改正規定(「第二十六条」を「第二十六条の二」に改める部分及び「第七章 新感染症(第四十五条—第五十三条)」を「第七章 新感染症(第四十五条—第五十三条) 第七章の二 結核(第五十三条の二—第五十三条の十五)」に改める部分に限る。)、同法第六条第二項から第六項までの改正規定(同条第三項第二号に係る部分に限る。)及び同条第十一項の改正規定、同条に八項を加える改正規定(同条第十五項、第二十一項第二号及び第二十二項第十号に係る部分に限る。)、同法第十条第六項を削る改正規定、同法第十八条から第二十条まで、第二十三条及び第二十四条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、同法第二十六条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、同法第三十七条の次に一条を加える改正規定、同法第三十八条から第四十四条まで及び第四十六条の改正規定、同法第四十九条の次に一条を加える改正規定、同法第七章の次に一章を加える改正規定、同法第五十七条及び第五十八条の改正規定、同条の次に二条を加える改正規定、同法第五十九条から第六十二条まで及び第六十四条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定並びに同法第六十五条、第六十五条の二(第三章に係る部分を除く。)及び第六十七条第二項の改正規定、第二条の規定並びに次条から附則第七条まで、附則第十三条(地方自治法別表第一感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の項の改正規定中第三章に係る部分を除く。)及び附則第十四条から第二十三条までの規定は、平成十九年四月一日から施行する。
第24条
(罰則の適用に関する経過措置)
附則
平成24年9月5日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第七十六条、第八十条、第八十一条、第八十六条、第百条第十四項及び第十五項の改正規定、同項の次に一項を加える改正規定、第百九条の改正規定、第百九条の二を削る改正規定、第百十条、第百十一条、第百二十七条第一項、第二百七条及び第二百五十条の二第一項の改正規定、第二編第十一章第二節第五款中第二百五十二条を第二百五十一条の六とし、同条の次に二条を加える改正規定、同章第三節第一款中第二百五十二条の六の次に一条を加える改正規定、第二百五十二条の七の次に一条を加える改正規定、第二百五十二条の八、第二百五十二条の十七の四、第二百五十五条の五及び第二百八十六条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、第二百八十七条及び第二百八十七条の三の改正規定、同条を第二百八十七条の四とし、第二百八十七条の二を第二百八十七条の三とし、第二百八十七条の次に一条を加える改正規定、第二百八十八条から第二百九十条まで、第二百九十一条第一項、第二百九十一条の二第四項、第二百九十一条の四第四項、第二百九十一条の六、第二百九十一条の八第二項、第二百九十一条の十三及び第二百九十八条第一項の改正規定並びに別表第一地方教育行政の組織及び運営に関する法律の項の改正規定並びに附則第三条、第六条、第八条及び第十条から第十四条までの規定、附則第十五条中市町村の合併の特例に関する法律第十四条第四項第二号の改正規定並びに附則第十六条の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。