津波防災地域づくりに関する法律
平成23年12月14日 制定
第1条
【目的】
この法律は、津波による災害を防止し、又は軽減する効果が高く、将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域の整備、利用及び保全(以下「津波防災地域づくり」という。)を総合的に推進することにより、津波による災害から国民の生命、身体及び財産の保護を図るため、国土交通大臣による基本指針の策定、市町村による推進計画の作成、推進計画区域における特別の措置及び一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画に関する事項について定めるとともに、津波防護施設の管理、津波災害警戒区域における警戒避難体制の整備並びに津波災害特別警戒区域における一定の開発行為及び建築物の建築等の制限に関する措置等について定め、もって公共の福祉の確保及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
第2条
【定義】
10
この法律において「津波防護施設」とは、盛土構造物、閘門その他の政令で定める施設(海岸保全施設、港湾施設、漁港施設及び河川管理施設並びに保安施設事業に係る施設であるものを除く。)であって、第8条第1項に規定する津波浸水想定を踏まえて津波による人的災害を防止し、又は軽減するために都道府県知事又は市町村長が管理するものをいう。
14
この法律において「特定業務施設」とは、事務所、事業所その他の業務施設で、津波による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し、又は軽減する必要性が高いと認められる区域(当該区域に隣接し、又は近接する区域を含む。)の基幹的な産業の振興、当該区域内の地域における雇用機会の創出及び良好な市街地の形成に寄与するもののうち、公益的施設以外のものをいう。
15
この法律において「一団地の津波防災拠点市街地形成施設」とは、前項に規定する区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点となる市街地を形成する一団地の住宅施設、特定業務施設又は公益的施設及び公共施設をいう。
第6条
【基礎調査】
1
都道府県は、基本指針に基づき、第8条第1項に規定する津波浸水想定の設定又は変更のために必要な基礎調査として、津波による災害の発生のおそれがある沿岸の陸域及び海域に関する地形、地質、土地利用の状況その他の事項に関する調査を行うものとする。
3
国土交通大臣は、都道府県による第8条第1項に規定する津波浸水想定の設定又は変更に資する基礎調査として、津波による災害の発生のおそれがある沿岸の陸域及び海域に関する地形、地質その他の事項に関する調査であって広域的な見地から必要とされるものを行うものとする。
第7条
【基礎調査のための土地の立入り等】
10
前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県又は国は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服のある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第94条第2項の規定による裁決を申請することができる。
第10条
【推進計画】
1
市町村は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、単独で又は共同して、当該市町村の区域内について、津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画(以下「推進計画」という。)を作成することができる。
3
前項に規定するもののほか、推進計画においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。
③
津波防災地域づくりの推進のために行う事業又は事務に関する事項であって、次に掲げるもの
ハ
一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に関する事業、土地区画整理法第2条第1項に規定する土地区画整理事業(以下「土地区画整理事業」という。)、都市再開発法第2条第1号に規定する市街地再開発事業その他の市街地の整備改善のための事業に関する事項
ホ
防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律(第16条において「集団移転促進法」という。)第2条第2項に規定する集団移転促進事業(第16条において「集団移転促進事業」という。)に関する事項
9
市町村は、推進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、国土交通大臣、都道府県及び関係管理者等その他第3項第3号イからヘまでに規定する事業又は事務を実施すると見込まれる者に、推進計画を送付しなければならない。
第12条
【津波防災住宅等建設区】
1
津波による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し、又は軽減する必要性が高いと認められる区域内の土地を含む土地(推進計画区域内にあるものに限る。)の区域において津波による災害を防止し、又は軽減することを目的とする土地区画整理事業の事業計画においては、施行地区(土地区画整理法第2条第4項に規定する施行地区をいう。以下同じ。)内の津波による災害の防止又は軽減を図るための措置が講じられた又は講じられる土地の区域における住宅及び公益的施設の建設を促進するため特別な必要があると認められる場合には、国土交通省令で定めるところにより、当該土地の区域であって、住宅及び公益的施設の用に供すべきもの(以下「津波防災住宅等建設区」という。)を定めることができる。
2
津波防災住宅等建設区は、施行地区において津波による災害を防止し、又は軽減し、かつ、住宅及び公益的施設の建設を促進する上で効果的であると認められる位置に定め、その面積は、住宅及び公益的施設が建設される見込みを考慮して相当と認められる規模としなければならない。
⊟
参照条文
第13条
【津波防災住宅等建設区への換地の申出等】
1
前条第1項の規定により事業計画において津波防災住宅等建設区が定められたときは、施行地区内の住宅又は公益的施設の用に供する宅地(土地区画整理法第2条第6項に規定する宅地をいう。以下同じ。)の所有者で当該宅地についての換地に住宅又は公益的施設を建設しようとするものは、施行者(当該津波防災住宅等建設区に係る土地区画整理事業を施行する者をいう。以下この条において同じ。)に対し、国土交通省令で定めるところにより、同法第86条第1項の換地計画(第4項及び次条において「換地計画」という。)において当該宅地についての換地を津波防災住宅等建設区内に定めるべき旨の申出をすることができる。
4
施行者は、第1項の規定による申出があった場合には、遅滞なく、当該申出が次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該申出に係る宅地を、換地計画においてその宅地についての換地を津波防災住宅等建設区内に定められるべき宅地として指定し、当該申出が次に掲げる要件に該当しないと認めるときは、当該申出に応じない旨を決定しなければならない。
7
施行者が土地区画整理法第14条第1項の規定により設立された土地区画整理組合である場合においては、最初の役員が選挙され、又は選任されるまでの間は、第1項の規定による申出は、同条第1項の規定による認可を受けた者が受理するものとする。
⊟
参照条文
第15条
推進計画区域(第53条第1項の津波災害警戒区域である区域に限る。)内の第56条第1項第1号及び第2号に掲げる基準に適合する建築物については、防災上有効な備蓄倉庫その他これに類する部分で、建築基準法第2条第35号に規定する特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの床面積は、同法第52条第1項、第2項、第7項、第12項及び第14項、第57条の2第3項第2号、第57条の3第2項、第59条第1項及び第3項、第59条の2第1項、第60条第1項、第60条の2第1項及び第4項、第68条の3第1項、第68条の4、第68条の5(第2号イを除く。)、第68条の5の2(第2号イを除く。)、第68条の5の3第1項(第1号ロを除く。)、第68条の5の4(第1号ロを除く。)、第68条の5の5第1項第1号ロ、第68条の8、第68条の9第1項、第86条第3項及び第4項、第86条の2第2項及び第3項、第86条の5第3項並びに第86条の6第1項に規定する建築物の容積率(同法第59条第1項、第60条の2第1項及び第68条の9第1項に規定するものについては、これらの規定に規定する建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。)の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。
第16条
1
集団移転促進事業(推進計画区域内に存する集団移転促進法第2条第1項に規定する移転促進区域に係るものであって、住民の生命、身体及び財産を津波による災害から保護することを目的とするものに限る。次項において同じ。)に係る集団移転促進事業計画(集団移転促進法第3条第1項に規定する集団移転促進事業計画をいう。次項において同じ。)は、推進計画に記載された第10条第3項第3号ホに掲げる事項に適合するものでなければならない。
2
都道府県は、市町村から集団移転促進事業につき一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る必要があることにより当該市町村が当該集団移転促進事業に係る集団移転促進事業計画を定めることが困難である旨の申出を受けた場合においては、当該申出に係る集団移転促進事業計画を定めることができる。この場合において、集団移転促進法第3条第1項、第4項及び第7項並びに第4条(見出しを含む。)中「市町村」とあるのは「都道府県」と、集団移転促進法第3条第1項中「集団移転促進事業を実施しようとするときは、」とあるのは「津波防災地域づくりに関する法律第16条第2項の規定により同項の申出に係る」と、「定めなければならない。この場合においては」とあるのは「定める場合においては」と、同条第4項中「第1項後段」とあるのは「第1項」と、「都道府県知事を経由して、集団移転促進事業計画を」とあるのは「集団移転促進事業計画を」と、「当該都道府県知事は、当該集団移転促進事業計画についてその意見を国土交通大臣に申し出ることができる」とあるのは「当該都道府県は、当該集団移転促進事業計画について、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない」と、同条第7項中「都道府県知事を経由して、国土交通大臣に」とあるのは「国土交通大臣に」とし、同条第8項の規定は、適用しない。
⊟
参照条文
第17条
1
次に掲げる条件のいずれにも該当する第2条第14項に規定する区域であって、当該区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点となる市街地を形成することが必要であると認められるものについては、都市計画に一団地の津波防災拠点市街地形成施設を定めることができる。
第20条
【境界に係る津波防護施設の管理の特例】
3
第1項の規定による協議に基づき、一の都府県知事が他の都府県の区域内に存する津波防護施設について管理を行う場合においては、その都府県知事は、政令で定めるところにより、当該他の都府県知事に代わってその権限を行うものとする。
第22条
【津波防護施設区域の占用】
第27条
【監督処分】
3
前二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、津波防護施設管理者は、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、津波防護施設管理者又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。
第28条
【損失補償】
3
前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第94条第2項の規定による裁決を申請することができる。
⊟
参照条文
第30条
【兼用工作物の工事等の協議】
1
津波防護施設と他の施設等とが相互に効用を兼ねる場合においては、津波防護施設管理者及び他の施設等の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該津波防護施設及び他の施設等の工事、維持又は操作を行うことができる。
⊟
参照条文
第31条
【工事原因者の工事の施行等】
1
津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事以外の工事(以下この章において「他の工事」という。)又は津波防護施設に関する工事若しくは津波防護施設の維持の必要を生じさせた行為(以下この章において「他の行為」という。)により必要を生じた津波防護施設に関する工事又は津波防護施設の維持を当該他の工事の施行者又は他の行為の行為者に施行させることができる。
2
前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)、道路(道路法による道路をいう。以下同じ。)に関する工事、地すべり防止工事(地すべり等防止法第2条第4項に規定する地すべり防止工事をいう。以下同じ。)、急傾斜地崩壊防止工事(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第2条第3項に規定する急傾斜地崩壊防止工事をいう。第43条第2項において同じ。)又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事については、河川法第19条、道路法第23条第1項、地すべり等防止法第15条第1項、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第16条第1項又は海岸法第17条第1項の規定を適用する。
⊟
参照条文
第32条
【附帯工事の施行】
2
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事(砂防法第1条に規定する砂防工事をいう。第44条第2項において同じ。)、地すべり防止工事又は海岸保全施設等(海岸法第8条の2第1項第1号に規定する海岸保全施設等をいう。第44条第2項において同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第18条、道路法第22条第1項、砂防法第8条、地すべり等防止法第14条第1項又は海岸法第16条第1項の規定を適用する。
第34条
【津波防護施設区域に関する調査のための土地の立入り等】
1
津波防護施設管理者又はその命じた者若しくは委任した者は、津波防護施設区域に関する調査若しくは測量又は津波防護施設に関する工事のためにやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。
⊟
参照条文
第35条
【津波防護施設の新設又は改良に伴う損失補償】
1
土地収用法第93条第1項の規定による場合を除き、津波防護施設管理者が津波防護施設を新設し、又は改良したことにより、当該津波防護施設に面する土地について、通路、溝、垣、柵その他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、津波防護施設管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、津波防護施設管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、津波防護施設管理者が当該工事を施行することを要求することができる。
⊟
参照条文
第40条
【境界に係る津波防護施設の管理に要する費用の特例】
都府県の境界に係る津波防護施設について第20条第1項の規定による協議に基づき関係都府県知事が別に管理の方法を定めた場合においては、当該津波防護施設の管理に要する費用については、関係都府県知事は、協議してその分担すべき金額及び分担の方法を定めることができる。
第41条
【市町村の分担金】
第43条
【原因者負担金】
1
津波防護施設管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた津波防護施設に関する工事又は津波防護施設の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。
2
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、地すべり防止工事、急傾斜地崩壊防止工事又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事の費用については、河川法第68条、道路法第59条第1項及び第3項、地すべり等防止法第35条第1項及び第3項、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第22条第1項又は海岸法第32条第1項及び第3項の規定を適用する。
⊟
参照条文
第44条
【附帯工事に要する費用】
2
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事、地すべり防止工事又は海岸保全施設等に関する工事であるときは、他の工事に要する費用については、河川法第67条、道路法第58条第1項、砂防法第16条、地すべり等防止法第34条第1項又は海岸法第31条第1項の規定を適用する。
第45条
【受益者負担金】
2
前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県の条例で、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の条例で定める。
⊟
参照条文
第47条
【強制徴収】
2
前項の場合においては、津波防護施設管理者は、国土交通省令で定めるところにより延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。
3
第1項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、津波防護施設管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金等及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
⊟
参照条文
第48条
【収入の帰属】
負担金等及び前条第2項の延滞金は、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の収入とする。
⊟
参照条文
第50条
【指定津波防護施設の指定等】
1
都道府県知事は、浸水想定区域(推進計画区域内のものに限る。以下この項において同じ。)内に存する第2条第10項の政令で定める施設(海岸保全施設、港湾施設、漁港施設、河川管理施設、保安施設事業に係る施設及び津波防護施設であるものを除く。)が、当該浸水想定区域における津波による人的災害を防止し、又は軽減するために有用であると認めるときは、当該施設を指定津波防護施設として指定することができる。
3
都道府県知事は、第1項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該指定津波防護施設を公示するとともに、その旨を当該指定津波防護施設が存する市町村の長及び当該指定津波防護施設の所有者に通知しなければならない。
第51条
【標識の設置等】
1
都道府県知事は、前条第1項の規定により指定津波防護施設を指定したときは、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県の条例で定めるところにより、指定津波防護施設又はその敷地である土地の区域内に、それぞれ指定津波防護施設である旨又は指定津波防護施設が当該区域内に存する旨を表示した標識を設けなければならない。
第52条
【行為の届出等】
3
都道府県知事は、第1項の規定による届出があった場合において、当該指定津波防護施設が有する津波による人的災害を防止し、又は軽減する機能の保全のため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。
第53条
【津波災害警戒区域】
1
都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波が発生した場合には住民その他の者(以下「住民等」という。)の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、津波災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる。
第54条
【市町村地域防災計画に定めるべき事項等】
1
市町村防災会議(災害対策基本法第16条第1項の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。以下同じ。)は、前条第1項の規定による警戒区域の指定があったときは、市町村地域防災計画(同法第42条第1項の市町村地域防災計画をいう。以下同じ。)において、当該警戒区域ごとに、次に掲げる事項について定めるものとする。
④
警戒区域内に、地下街等(地下街その他地下に設けられた不特定かつ多数の者が利用する施設をいう。第71条第1項第1号において同じ。)又は社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設であって、当該施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるものがある場合にあっては、これらの施設の名称及び所在地
第55条
【住民等に対する周知のための措置】
第56条
【指定避難施設の指定】
3
建築主事を置かない市町村の市町村長は、建築物又は建築基準法第88条第1項の政令で指定する工作物について第1項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
第57条
【市町村地域防災計画における指定避難施設に関する事項の記載等】
市町村防災会議は、前条第1項の規定により指定避難施設が指定されたときは、当該指定避難施設に関する事項を、第54条第1項第2号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。この場合においては、当該市町村地域防災計画において、併せて当該指定避難施設の管理者に対する人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報、予報及び警報の伝達方法を、同項第1号に掲げる事項として定めるものとする。
⊟
参照条文
第58条
【指定避難施設に関する届出】
第60条
【管理協定の締結等】
1
市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内に存する施設(当該市町村が管理する施設を除く。)であって第56条第1項第1号及び第2号に掲げる基準に適合するものについて、その避難用部分(津波の発生時における避難の用に供する部分をいう。以下同じ。)を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等(当該施設の所有者、その敷地である土地の所有者又は当該土地の使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。次条第1項において同じ。)を有する者をいう。以下同じ。)との間において、管理協定を締結して当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。
第61条
1
市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内において建設が予定されている施設又は建設中の施設であって、第56条第1項第1号及び第2号に掲げる基準に適合する見込みのもの(当該市町村が管理することとなる施設を除く。)について、その避難用部分を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等となろうとする者(当該施設の敷地である土地の所有者又は当該土地の使用及び収益を目的とする権利を有する者を含む。次項及び第68条において「予定施設所有者等」という。)との間において、管理協定を締結して建設後の当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。
第65条
【管理協定の公告等】
第66条
【市町村地域防災計画における協定避難施設に関する事項の記載】
市町村防災会議は、当該市町村が管理協定を締結したときは、当該管理協定に係る協定避難施設に関する事項を、第54条第1項第2号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。
⊟
参照条文
第69条
【市町村防災会議の協議会が設置されている場合の準用】
第54条、第55条、第57条及び第66条の規定は、災害対策基本法第17条第1項の規定により津波による人的災害の防止又は軽減を図るため同項の市町村防災会議の協議会が設置されている場合について準用する。この場合において、第54条第1項中「市町村防災会議(災害対策基本法第16条第1項の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。」とあるのは「市町村防災会議の協議会(災害対策基本法第17条第1項の市町村防災会議の協議会をいう。」と、「市町村地域防災計画(同法第42条第1項の市町村地域防災計画をいう。」とあるのは「市町村相互間地域防災計画(同法第44条第1項の市町村相互間地域防災計画をいう。」と、同条第2項、第57条及び第66条中「市町村防災会議」とあるのは「市町村防災会議の協議会」と、同項、第55条、第57条及び第66条中「市町村地域防災計画」とあるのは「市町村相互間地域防災計画」と読み替えるものとする。
⊟
参照条文
第71条
【避難確保計画の作成等】
1
次に掲げる施設であって、第54条第1項(第69条において準用する場合を含む。)の規定により市町村地域防災計画又は災害対策基本法第44条第1項の市町村相互間地域防災計画にその名称及び所在地が定められたもの(以下この条において「避難促進施設」という。)の所有者又は管理者は、単独で又は共同して、国土交通省令で定めるところにより、避難訓練その他当該避難促進施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画(以下この条において「避難確保計画」という。)を作成し、これを市町村長に報告するとともに、公表しなければならない。
第72条
【津波災害特別警戒区域】
1
都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、警戒区域のうち、津波が発生した場合には建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為(都市計画法第4条第12項に規定する開発行為をいう。次条第1項及び第80条において同じ。)及び一定の建築物(居室(建築基準法第2条第4号に規定する居室をいう。以下同じ。)を有するものに限る。以下同じ。)の建築(同条第13号に規定する建築をいう。以下同じ。)又は用途の変更の制限をすべき土地の区域を、津波災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。
3
都道府県知事は、第1項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該指定の案を、当該指定をしようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
10
都道府県知事は、海岸保全施設又は津波防護施設の整備の実施その他の事由により、特別警戒区域の全部又は一部について第1項の規定による指定の事由がなくなったと認めるときは、当該特別警戒区域の全部又は一部について当該指定を解除するものとする。
第73条
【特定開発行為の制限】
1
特別警戒区域内において、政令で定める土地の形質の変更を伴う開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(地方自治法第252条の19第1項に規定する指定都市(第3項及び第94条において「指定都市」という。)、同法第252条の22第1項に規定する中核市(第3項において「中核市」という。)又は同法第252条の26の3第1項に規定する特例市(第3項において「特例市」という。)の区域内にあっては、それぞれの長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。
第75条
【許可の基準】
都道府県知事等は、第73条第1項の許可の申請があったときは、特定開発行為に関する工事の計画が、擁壁の設置その他の津波が発生した場合における開発区域内の土地の安全上必要な措置を国土交通省令で定める技術的基準に従い講じるものであり、かつ、その申請の手続がこの法律及びこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
第78条
【変更の許可等】
⊟
参照条文
第88条 第89条 第90条 第91条 第99条 第103条 建築基準法第88条 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令第16条 公有地の拡大の推進に関する法律施行令第9条 国立大学法人法施行令第22条 宅地建物取引業法施行令第2条の5 第3条 地方住宅供給公社法施行令第2条 地方道路公社法施行令第10条 地方独立行政法人法施行令第13条 津波防災地域づくりに関する法律施行規則第39条 第45条 第46条 第47条 独立行政法人国立病院機構法施行令第16条 独立行政法人都市再生機構法施行令第34条 独立行政法人労働者健康福祉機構法施行令第14条 不動産特定共同事業法施行令第6条
第79条
【工事完了の検査等】
3
都道府県知事等は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨及び当該工事の完了後において当該工事に係る開発区域(特別警戒区域内のものに限る。)に地盤面の高さが基準水位以上である土地の区域があるときはその区域を公告しなければならない。
第82条
【特定建築行為の制限】
第83条
【申請の手続】
第84条
【許可の基準】
1
都道府県知事等は、第73条第2項第1号に掲げる用途の建築物について第82条の許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
②
第73条第2項第1号の政令で定める用途ごとに政令で定める居室の床面の高さ(当該居室の構造その他の事由を勘案して都道府県知事等が津波に対して安全であると認める場合にあっては、当該居室の床面の高さに都道府県知事等が当該居室について指定する高さを加えた高さ)が基準水位以上であること。
2
都道府県知事等は、第73条第2項第2号の条例で定める用途の建築物について第82条の許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又は前条第3項若しくは第4項の条例の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
第87条
【変更の許可等】
1
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参照条文
第88条 第89条 第90条 第91条 第99条 第103条 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令第16条 公有地の拡大の推進に関する法律施行令第9条 国立大学法人法施行令第22条 宅地建物取引業法施行令第2条の5 第3条 地方住宅供給公社法施行令第2条 地方道路公社法施行令第10条 地方独立行政法人法施行令第13条 津波防災地域づくりに関する法律施行規則第55条 第57条 第58条 第59条 第60条 津波防災地域づくりに関する法律施行令第24条 第25条 独立行政法人国立病院機構法施行令第16条 独立行政法人都市再生機構法施行令第34条 独立行政法人労働者健康福祉機構法施行令第14条 不動産特定共同事業法施行令第6条
第88条
【監督処分】
1
都道府県知事等は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、特定開発行為に係る土地又は特定建築行為に係る建築物における津波による人的災害を防止するために必要な限度において、第73条第1項、第78条第1項、第82条若しくは前条第1項の許可を取り消し、若しくはその許可に付した条件を変更し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて必要な措置をとることを命ずることができる。
④
特別警戒区域で行われる又は行われた特定開発行為(当該特別警戒区域の指定の際当該特別警戒区域内において既に着手している行為を除く。)であって、開発区域内の土地の安全上必要な措置を第75条の国土交通省令で定める技術的基準に従って講じていないものに関する工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
2
前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事等は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、都道府県知事等又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
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参照条文
第92条
【移転等の勧告】
第94条
【監視区域の指定】
都道府県知事又は指定都市の長は、推進計画区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法第27条の6第1項の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。
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参照条文