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  • 破産法

破産法

平成25年6月19日 改正
第1章
総則
第1条
【目的】
この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において「破産手続」とは、次章以下(第12章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。
この法律において「破産事件」とは、破産手続に係る事件をいう。
この法律において「破産裁判所」とは、破産事件が係属している地方裁判所をいう。
この法律において「破産者」とは、債務者であって、第30条第1項の規定により破産手続開始の決定がされているものをいう。
この法律において「破産債権」とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第97条各号に掲げる債権を含む。)であって、財団債権に該当しないものをいう。
この法律において「破産債権者」とは、破産債権を有する債権者をいう。
この法律において「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
この法律において「財団債権者」とは、財団債権を有する債権者をいう。
この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第65条第1項の規定により行使することができる権利をいう。
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この法律において「別除権者」とは、別除権を有する者をいう。
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この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法第2条第9項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
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この法律において「破産管財人」とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。
13
この法律において「保全管理人」とは、第91条第1項の規定により債務者の財産に関し管理を命じられた者をいう。
14
この法律において「破産財団」とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。
第3条
【外国人の地位】
外国人又は外国法人は、破産手続、第12章第1節の規定による免責手続(以下「免責手続」という。)及び同章第2節の規定による復権の手続(以下この章において「破産手続等」と総称する。)に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。
参照条文
第4条
【破産事件の管轄】
この法律の規定による破産手続開始の申立ては、債務者が個人である場合には日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、することができる。
民事訴訟法の規定により裁判上の請求をすることができる債権は、日本国内にあるものとみなす。
第5条
破産事件は、債務者が、営業者であるときはその主たる営業所の所在地、営業者で外国に主たる営業所を有するものであるときは日本におけるその主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
前項の規定による管轄裁判所がないときは、破産事件は、債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
前二項の規定にかかわらず、法人が株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次項第83条第2項第2号及び第3項並びに第161条第2項第2号イ及びロにおいて同じ。)の過半数を有する場合には、当該法人(以下この条及び第161条第2項第2号ロにおいて「親法人」という。)について破産事件、再生事件又は更生事件(以下この条において「破産事件等」という。)が係属しているときにおける当該株式会社(以下この条及び第161条第2項第2号ロにおいて「子株式会社」という。)についての破産手続開始の申立ては、親法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、子株式会社について破産事件等が係属しているときにおける親法人についての破産手続開始の申立ては、子株式会社の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
子株式会社又は親法人及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親法人の子株式会社とみなして、前項の規定を適用する。
第1項及び第2項の規定にかかわらず、株式会社が最終事業年度について会社法第444条の規定により当該株式会社及び他の法人に係る連結計算書類(同条第1項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し、かつ、当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には、当該株式会社について破産事件等が係属しているときにおける当該他の法人についての破産手続開始の申立ては、当該株式会社の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、当該他の法人について破産事件等が係属しているときにおける当該株式会社についての破産手続開始の申立ては、当該他の法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
第1項及び第2項の規定にかかわらず、法人について破産事件等が係属している場合における当該法人の代表者についての破産手続開始の申立ては、当該法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、法人の代表者について破産事件又は再生事件が係属している場合における当該法人についての破産手続開始の申立ては、当該法人の代表者の破産事件又は再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
第1項及び第2項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者のうちいずれか一人について破産事件が係属しているときは、それぞれ当該各号に掲げる他の者についての破産手続開始の申立ては、当該破産事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
相互に連帯債務者の関係にある個人
相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人
夫婦
第1項及び第2項の規定にかかわらず、破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権となるべき債権を有する債権者の数が五百人以上であるときは、これらの規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、破産手続開始の申立てをすることができる。
第1項及び第2項の規定にかかわらず、前項に規定する債権者の数が千人以上であるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、破産手続開始の申立てをすることができる。
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前各項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、破産事件は、先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
第6条
【専属管轄】
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
第7条
【破産事件の移送】
裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、破産事件(破産事件の債務者又は破産者による免責許可の申立てがある場合にあっては、破産事件及び当該免責許可の申立てに係る事件)を次に掲げる地方裁判所のいずれかに移送することができる。
債務者の主たる営業所又は事務所以外の営業所又は事務所の所在地を管轄する地方裁判所
債務者の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所
第5条第2項に規定する地方裁判所
次のイからハまでのいずれかに掲げる地方裁判所
第5条第3項から第7項までに規定する地方裁判所
破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権となるべき債権を有する債権者(破産手続開始の決定後にあっては、破産債権者。ハにおいて同じ。)の数が五百人以上であるときは、第5条第8項に規定する地方裁判所
ロに規定する債権者の数が千人以上であるときは、第5条第9項に規定する地方裁判所
第5条第3項から第9項までの規定によりこれらの規定に規定する地方裁判所に破産事件が係属しているときは、同条第1項又は第2項に規定する地方裁判所
第8条
【任意的口頭弁論等】
破産手続等に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
裁判所は、職権で、破産手続等に係る事件に関して必要な調査をすることができる。
第9条
【不服申立て】
破産手続等に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。
第10条
【公告等】
この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。
第11条
【事件に関する文書の閲覧等】
利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第1項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める命令、保全処分又は裁判のいずれかがあるまでの間は、前三項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が破産手続開始の申立人である場合は、この限りでない。
債務者以外の利害関係人 第24条第1項の規定による中止の命令、第25条第2項に規定する包括的禁止命令、第28条第1項の規定による保全処分、第91条第2項に規定する保全管理命令、第171条第1項の規定による保全処分又は破産手続開始の申立てについての裁判
債務者 破産手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める命令、保全処分若しくは裁判
第12条
【支障部分の閲覧等の制限】
次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、破産財団(破産手続開始前にあっては、債務者の財産)の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した破産管財人又は保全管理人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者(その者が保全管理人である場合にあっては、保全管理人又は破産管財人。次項において同じ。)に限ることができる。
第36条第40条第1項ただし書若しくは同条第2項において準用する同条第1項ただし書(これらの規定を第96条第1項において準用する場合を含む。)、第78条第2項第93条第3項において準用する場合を含む。)、第84条第96条第1項において準用する場合を含む。)又は第93条第1項ただし書の許可を得るために裁判所に提出された文書等
第157条第2項の規定による報告に係る文書等
前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、破産裁判所に対し、第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
第1項の申立てを却下する決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第1項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
第13条
【民事訴訟法の準用】
破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用する。
参照条文
第14条
【最高裁判所規則】
この法律に定めるもののほか、破産手続等に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第2章
破産手続の開始
第1節
破産手続開始の申立て
第15条
【破産手続開始の原因】
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第30条第1項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
参照条文
第16条
【法人の破産手続開始の原因】
債務者が法人である場合に関する前条第1項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。
第17条
【破産手続開始の原因の推定】
債務者についての外国で開始された手続で破産手続に相当するものがある場合には、当該債務者に破産手続開始の原因となる事実があるものと推定する。
第18条
【破産手続開始の申立て】
債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
第19条
【法人の破産手続開始の申立て】
次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
一般社団法人又は一般財団法人 理事
株式会社又は相互会社(保険業法第2条第5項に規定する相互会社をいう。第150条第6項第3号において同じ。) 取締役
合名会社、合資会社又は合同会社 業務を執行する社員
前項各号に掲げる法人については、清算人も、破産手続開始の申立てをすることができる。
前二項の規定により第1項各号に掲げる法人について破産手続開始の申立てをする場合には、理事、取締役、業務を執行する社員又は清算人の全員が破産手続開始の申立てをするときを除き、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
前三項の規定は、第1項各号に掲げる法人以外の法人について準用する。
法人については、その解散後であっても、残余財産の引渡し又は分配が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。
第20条
【破産手続開始の申立ての方式】
破産手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。
債権者以外の者が破産手続開始の申立てをするときは、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者一覧表を裁判所に提出しなければならない。ただし、当該申立てと同時に債権者一覧表を提出することができないときは、当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。
第21条
【破産手続開始の申立書の審査】
前条第1項の書面(以下この条において「破産手続開始の申立書」という。)に同項に規定する事項が記載されていない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命ずる処分をしなければならない。民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い破産手続開始の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
前項の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
第1項の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
裁判所は、第3項の異議の申立てがあった場合において、破産手続開始の申立書に第1項の処分において補正を命じた不備以外の不備があると認めるときは、相当の期間を定め、その期間内に当該不備を補正すべきことを命じなければならない。
第1項又は前項の場合において、破産手続開始の申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、破産手続開始の申立書を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
参照条文
第22条
【費用の予納】
破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
参照条文
第23条
【費用の仮支弁】
裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができる。職権で破産手続開始の決定をした場合も、同様とする。
前条第1項の規定は、前項前段の規定により破産手続の費用を仮に国庫から支弁する場合には、適用しない。
第24条
【他の手続の中止命令等】
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第1号に掲げる手続又は第6号に掲げる処分についてはその手続の申立人である債権者又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限り、第5号に掲げる責任制限手続については責任制限手続開始の決定がされていない場合に限る。
債務者の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え、仮処分又は一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この節において「強制執行等」という。)の手続で、債務者につき破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権若しくは財団債権となるべきもの(以下この項及び次条第8項において「破産債権等」という。)に基づくもの又は破産債権等を被担保債権とするもの
債務者の財産に対して既にされている企業担保権の実行手続で、破産債権等に基づくもの
債務者の財産関係の訴訟手続
債務者の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続
債務者の責任制限手続(船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第3章又は船舶油濁損害賠償保障法第5章の規定による責任制限手続をいう。第263条及び第264条第1項において同じ。)
債務者の財産に対して既にされている共助対象外国租税(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律第103条第5項及び第253条第4項において「租税条約等実施特例法」という。)第11条第1項に規定する共助対象外国租税をいう。以下同じ。)の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(以下「外国租税滞納処分」という。)で、破産債権等に基づくもの
裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
裁判所は、第91条第2項に規定する保全管理命令が発せられた場合において、債務者の財産の管理及び処分をするために特に必要があると認めるときは、保全管理人の申立てにより、担保を立てさせて、第1項の規定により中止した強制執行等の手続又は外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。
第1項の規定による中止の命令、第2項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第4項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第25条
【包括的禁止命令】
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、前条第1項第1号又は第6号の規定による中止の命令によっては破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての債権者に対し、債務者の財産に対する強制執行等及び国税滞納処分(国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く。以下同じ。)の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、債務者の主要な財産に関し第28条第1項の規定による保全処分をした場合又は第91条第2項に規定する保全管理命令をした場合に限る。
前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)を発する場合において、裁判所は、相当と認めるときは、一定の範囲に属する強制執行等又は国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができる。
包括的禁止命令が発せられた場合には、債務者の財産に対して既にされている強制執行等の手続及び外国租税滞納処分(当該包括的禁止命令により禁止されることとなるものに限る。)は、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、中止する。
裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。
裁判所は、第91条第2項に規定する保全管理命令が発せられた場合において、債務者の財産の管理及び処分をするために特に必要があると認めるときは、保全管理人の申立てにより、担保を立てさせて、第3項の規定により中止した強制執行等の手続又は外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。
包括的禁止命令、第4項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
包括的禁止命令が発せられたときは、破産債権等(当該包括的禁止命令により強制執行等又は国税滞納処分が禁止されているものに限る。)については、当該包括的禁止命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
第26条
【包括的禁止命令に関する公告及び送達等】
包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定があった場合には、その旨を公告し、その裁判書を債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。次項において同じ。)及び申立人に送達し、かつ、その決定の主文を知れている債権者及び債務者(保全管理人が選任されている場合に限る。)に通知しなければならない。
包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定は、債務者に対する裁判書の送達がされた時から、効力を生ずる。
前条第6項の即時抗告についての裁判(包括的禁止命令を変更し、又は取り消す旨の決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第27条
【包括的禁止命令の解除】
裁判所は、包括的禁止命令を発した場合において、強制執行等の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該債権者の申立てにより、当該債権者に限り当該包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができる。この場合において、当該債権者は、債務者の財産に対する強制執行等をすることができ、当該包括的禁止命令が発せられる前に当該債権者がした強制執行等の手続で第25条第3項の規定により中止されていたものは、続行する。
前項の規定は、裁判所が国税滞納処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認める場合について準用する。
第1項前項において準用する場合を含む。次項及び第6項において同じ。)の規定による解除の決定を受けた者に対する第25条第8項の規定の適用については、同項中「当該包括的禁止命令が効力を失った日」とあるのは、「第27条第1項同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による解除の決定があった日」とする。
第1項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第1項の申立てについての裁判及び第4項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
第28条
【債務者の財産に関する保全処分】
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
第1項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第3項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
裁判所が第1項の規定により債務者が債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、債権者は、破産手続の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
第29条
【破産手続開始の申立ての取下げの制限】
破産手続開始の申立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第24条第1項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、前条第1項の規定による保全処分、第91条第2項に規定する保全管理命令又は第171条第1項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
第2節
破産手続開始の決定
第30条
【破産手続開始の決定】
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
破産手続の費用の予納がないとき(第23条第1項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
第31条
【破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等】
裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
破産債権の届出をすべき期間
破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第4項第136条第2項及び第3項並びに第158条において「財産状況報告集会」という。)の期日
破産債権の調査をするための期間(第116条第2項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
前項第1号及び第3号の規定にかかわらず、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは、同項第1号の期間並びに同項第3号の期間及び期日を定めないことができる。
前項の場合において、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、第1項第1号の期間及び同項第3号の期間又は期日を定めなければならない。
第1項第2号の規定にかかわらず、裁判所は、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して財産状況報告集会を招集することを相当でないと認めるときは、同号の期日を定めないことができる。
第1項の場合において、知れている破産債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第4項本文及び第5項本文において準用する同条第3項第1号第33条第3項本文並びに第139条第3項本文の規定による破産債権者(同項本文の場合にあっては、同項本文に規定する議決権者。次条第2項において同じ。)に対する通知をせず、かつ、第111条第112条又は第114条の規定により破産債権の届出をした破産債権者(以下「届出をした破産債権者」という。)を債権者集会の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。
第32条
【破産手続開始の公告等】
裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
破産手続開始の決定の主文
破産管財人の氏名又は名称
前条第1項の規定により定めた期間又は期日
破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者(第3項第2号において「財産所持者等」という。)は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
第204条第1項第2号の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し前条第1項第3号の期間の満了時又は同号の期日の終了時までに異議を述べるべき旨
前条第5項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第4項本文及び第5項本文において準用する次項第1号次条第3項本文並びに第139条第3項本文の規定による破産債権者に対する通知をせず、かつ、届出をした破産債権者を債権者集会の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。
次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
破産管財人、破産者及び知れている破産債権者
知れている財産所持者等
第91条第2項に規定する保全管理命令があった場合における保全管理人
労働組合等(破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第78条第4項及び第136条第3項において同じ。)
第1項第3号及び前項第1号の規定は、前条第3項の規定により同条第1項第1号の期間及び同項第3号の期間又は期日を定めた場合について準用する。ただし、同条第5項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
第1項第2号並びに第3項第1号及び第2号の規定は第1項第2号に掲げる事項に変更を生じた場合について、第1項第3号及び第3項第1号の規定は第1項第3号に掲げる事項に変更を生じた場合(前条第1項第1号の期間又は同項第2号の期日に変更を生じた場合に限る。)について準用する。ただし、同条第5項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
第33条
【抗告】
破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第24条から第28条までの規定は、破産手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。
破産手続開始の決定をした裁判所は、第1項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第3項各号(第3号を除く。)に掲げる者にその主文を通知しなければならない。ただし、第31条第5項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
第3節
破産手続開始の効果
第1款
通則
第34条
【破産財団の範囲】
破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
第1項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
民事執行法第131条第3号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
差し押さえることができない財産(民事執行法第131条第3号に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第132条第1項同法第192条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。
第4項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
第4項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
第35条
【法人の存続の擬制】
他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。
第36条
【破産者の事業の継続】
破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる。
参照条文
第37条
【破産者の居住に係る制限】
破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。
前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
参照条文
第38条
【破産者の引致】
裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができる。
破産手続開始の申立てがあったときは、裁判所は、破産手続開始の決定をする前でも、債務者の引致を命ずることができる。
前二項の規定による引致は、引致状を発してしなければならない。
第1項又は第2項の規定による引致を命ずる決定に対しては、破産者又は債務者は、即時抗告をすることができる。
刑事訴訟法中勾引に関する規定は、第1項及び第2項の規定による引致について準用する。
第39条
【破産者に準ずる者への準用】
前二条の規定は、破産者の法定代理人及び支配人並びに破産者の理事、取締役、執行役及びこれらに準ずる者について準用する。
参照条文
第40条
【破産者等の説明義務】
次に掲げる者は、破産管財人若しくは第144条第2項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第5号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。
破産者
破産者の代理人
破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人
前号に掲げる者に準ずる者
破産者の従業者(第2号に掲げる者を除く。)
前項の規定は、同項各号(第1号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。
第41条
【破産者の重要財産開示義務】
破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
参照条文
第42条
【他の手続の失効等】
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
前項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続については、民事執行法第63条及び第129条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
第2項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続に関する破産者に対する費用請求権は、財団債権とする。
第2項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。
破産手続開始の決定があったときは、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第196条に規定する財産開示手続をいう。以下この項並びに第249条第1項及び第2項において同じ。)の申立てはすることができず、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続はその効力を失う。
第43条
【国税滞納処分等の取扱い】
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。次項において同じ。)は、することができない。
破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。
破産手続開始の決定があったときは、破産手続が終了するまでの間は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。免責許可の申立てがあった後当該申立てについての裁判が確定するまでの間(破産手続開始の決定前に免責許可の申立てがあった場合にあっては、破産手続開始の決定後当該申立てについての裁判が確定するまでの間)も、同様とする。
第44条
【破産財団に関する訴えの取扱い】
破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。
第45条
【債権者代位訴訟及び詐害行為取消訴訟の取扱い】
民法第423条又は第424条の規定により破産債権者又は財団債権者の提起した訴訟が破産手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
前項の場合においては、相手方の破産債権者又は財団債権者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があった後に破産手続が終了したときは、当該訴訟手続は、中断する。
前項の場合には、破産債権者又は財団債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産債権者又は財団債権者は、当然訴訟手続を受継する。
第46条
【行政庁に係属する事件の取扱い】
第44条の規定は、破産財団に関する事件で行政庁に係属するものについて準用する。
第2款
破産手続開始の効果
第47条
【開始後の法律行為の効力】
破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。
破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。
参照条文
第48条
【開始後の権利取得の効力】
破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。
前条第2項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。
第49条
【開始後の登記及び登録の効力】
不動産又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記又は不動産登記法第105条第1号の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
第50条
【開始後の破産者に対する弁済の効力】
破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができる。
破産手続開始後に、その事実を知って破産者にした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ、破産手続の関係において、その効力を主張することができる。
参照条文
第51条
【善意又は悪意の推定】
前二条の規定の適用については、第32条第1項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。
参照条文
第52条
【共有関係】
数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができる。
前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って破産者の持分を取得することができる。
第53条
【双務契約】
双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。
前項の規定は、相手方又は破産管財人が民法第631条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合又は同法第642条第1項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。
第54条
前条第1項又は第2項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。
前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。
第55条
【継続的給付を目的とする双務契約】
破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。
前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。
前二項の規定は、労働契約には、適用しない。
第56条
【賃貸借契約等】
第53条第1項及び第2項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。
前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。
第57条
【委任契約】
委任者について破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第655条の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができる。
参照条文
第58条
【市場の相場がある商品の取引に係る契約】
取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなす。
前項の場合において、損害賠償の額は、履行地又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。
第54条第1項の規定は、前項の規定による損害の賠償について準用する。
第1項又は第2項に定める事項について当該取引所又は市場における別段の定めがあるときは、その定めに従う。
第1項の取引を継続して行うためにその当事者間で締結された基本契約において、その基本契約に基づいて行われるすべての同項の取引に係る契約につき生ずる第2項に規定する損害賠償の債権又は債務を差引計算して決済する旨の定めをしたときは、請求することができる損害賠償の額の算定については、その定めに従う。
第59条
【交互計算】
交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了する。この場合においては、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。
前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。
第60条
【為替手形の引受け又は支払等】
為替手形の振出人又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができる。
前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。
第51条の規定は、前二項の規定の適用について準用する。
参照条文
第61条
【夫婦財産関係における管理者の変更等】
民法第758条第2項及び第3項並びに第759条の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第835条の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用する。
第3款
取戻権
第62条
【取戻権】
破産手続の開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利(第64条及び第78条第2項第13号において「取戻権」という。)に影響を及ぼさない。
第63条
【運送中の物品の売主等の取戻権】
売主が売買の目的である物品を買主に発送した場合において、買主がまだ代金の全額を弁済せず、かつ、到達地でその物品を受け取らない間に買主について破産手続開始の決定があったときは、売主は、その物品を取り戻すことができる。ただし、破産管財人が代金の全額を支払ってその物品の引渡しを請求することを妨げない。
前項の規定は、第53条第1項及び第2項の規定の適用を妨げない。
第1項の規定は、物品の買入れの委託を受けた問屋がその物品を委託者に発送した場合について準用する。この場合において、同項中「代金」とあるのは、「報酬及び費用」と読み替えるものとする。
第64条
【代償的取戻権】
破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には、当該財産について取戻権を有する者は、反対給付の請求権の移転を請求することができる。破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も、同様とする。
前項の場合において、破産管財人が反対給付を受けたときは、同項の取戻権を有する者は、破産管財人が反対給付として受けた財産の給付を請求することができる。
第4款
別除権
第65条
【別除権】
別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
第66条
【留置権の取扱い】
破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法又は会社法の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。
前項の特別の先取特権は、民法その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。
第1項に規定するものを除き、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する留置権は、破産財団に対してはその効力を失う。
第5款
相殺権
第67条
【相殺権】
破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。
破産債権者の有する債権が破産手続開始の時において期限付若しくは解除条件付であるとき、又は第103条第2項第1号に掲げるものであるときでも、破産債権者が前項の規定により相殺をすることを妨げない。破産債権者の負担する債務が期限付若しくは条件付であるとき、又は将来の請求権に関するものであるときも、同様とする。
参照条文
第68条
【相殺に供することができる破産債権の額】
破産債権者が前条の規定により相殺をする場合の破産債権の額は、第103条第2項各号に掲げる債権の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。
前項の規定にかかわらず、破産債権者の有する債権が無利息債権又は定期金債権であるときは、その破産債権者は、その債権の債権額から第99条第1項第2号から第4号までに掲げる部分の額を控除した額の限度においてのみ、相殺をすることができる。
第69条
【解除条件付債権を有する者による相殺】
解除条件付債権を有する者が相殺をするときは、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために、担保を供し、又は寄託をしなければならない。
参照条文
第70条
【停止条件付債権等を有する者による寄託の請求】
停止条件付債権又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。
参照条文
第71条
【相殺の禁止】
破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
法定の原因
支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
第72条
破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
法定の原因
支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約
第73条
【破産管財人の催告権】
破産管財人は、第31条第1項第3号の期間が経過した後又は同号の期日が終了した後は、第67条の規定により相殺をすることができる破産債権者に対し、一月以上の期間を定め、その期間内に当該破産債権をもって相殺をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、破産債権者の負担する債務が弁済期にあるときに限る。
前項の規定による催告があった場合において、破産債権者が同項の規定により定めた期間内に確答をしないときは、当該破産債権者は、破産手続の関係においては、当該破産債権についての相殺の効力を主張することができない。
第3章
破産手続の機関
第1節
破産管財人
第1款
破産管財人の選任及び監督
第74条
【破産管財人の選任】
破産管財人は、裁判所が選任する。
法人は、破産管財人となることができる。
第75条
【破産管財人に対する監督等】
破産管財人は、裁判所が監督する。
裁判所は、破産管財人が破産財団に属する財産の管理及び処分を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産管財人を解任することができる。この場合においては、その破産管財人を審尋しなければならない。
参照条文
第76条
【数人の破産管財人の職務執行】
破産管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
破産管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
第77条
【破産管財人代理】
破産管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の破産管財人代理を選任することができる。
前項の破産管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
第2款
破産管財人の権限等
第78条
【破産管財人の権限】
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
破産管財人が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
不動産に関する物権、登記すべき日本船舶又は外国船舶の任意売却
鉱業権、漁業権、公共施設等運営権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権、著作権又は著作隣接権の任意売却
営業又は事業の譲渡
商品の一括売却
借財
第238条第2項の規定による相続の放棄の承認、第243条において準用する同項の規定による包括遺贈の放棄の承認又は第244条第1項の規定による特定遺贈の放棄
動産の任意売却
債権又は有価証券の譲渡
第53条第1項の規定による履行の請求
訴えの提起
和解又は仲裁合意(仲裁法第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)
権利の放棄
財団債権、取戻権又は別除権の承認
別除権の目的である財産の受戻し
その他裁判所の指定する行為
前項の規定にかかわらず、同項第7号から第14号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
裁判所は、第2項第3号の規定により営業又は事業の譲渡につき同項の許可をする場合には、労働組合等の意見を聴かなければならない。
第2項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
破産管財人は、第2項各号に掲げる行為をしようとするときは、遅滞を生ずるおそれのある場合又は第3項各号に掲げる場合を除き、破産者の意見を聴かなければならない。
第79条
【破産財団の管理】
破産管財人は、就職の後直ちに破産財団に属する財産の管理に着手しなければならない。
第80条
【当事者適格】
破産財団に関する訴えについては、破産管財人を原告又は被告とする。
第81条
【郵便物等の管理】
裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第3項に規定する信書便物(次条及び第118条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
裁判所は、破産者の申立てにより又は職権で、破産管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
破産手続が終了したときは、裁判所は、第1項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
第1項又は第2項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、破産者又は破産管財人は、即時抗告をすることができる。
第1項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第82条
破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
破産者は、破産管財人に対し、破産管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で破産財団に関しないものの交付を求めることができる。
参照条文
第83条
【破産管財人による調査等】
破産管財人は、第40条第1項各号に掲げる者及び同条第2項に規定する者に対して同条の規定による説明を求め、又は破産財団に関する帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
破産管財人は、その職務を行うため必要があるときは、破産者の子会社等(次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める法人をいう。次項において同じ。)に対して、その業務及び財産の状況につき説明を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
破産者が株式会社である場合 破産者の子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社をいう。)
破産者が株式会社以外のものである場合 破産者が株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合における当該株式会社
破産者(株式会社以外のものに限る。以下この項において同じ。)の子会社等又は破産者及びその子会社等が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、前項の規定の適用については、当該他の株式会社を当該破産者の子会社等とみなす。
参照条文
第84条
【破産管財人の職務の執行の確保】
破産管財人は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、裁判所の許可を得て、警察上の援助を求めることができる。
参照条文
第85条
【破産管財人の注意義務】
破産管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
破産管財人が前項の注意を怠ったときは、その破産管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。
第86条
【破産管財人の情報提供努力義務】
破産管財人は、破産債権である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し、破産手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならない。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条
(旧法の廃止)
破産法は、廃止する。
第3条
(破産事件等に関する経過措置)
この法律(以下「新法」という。)の施行前にされた破産の申立て又は新法の施行前に職権でされた破産の宣告に係る破産事件については、なお従前の例による。
新法の施行前にされた破産の申立て又は新法の施行前に職権でされた破産の宣告に係る破産者の免責に関する事件については、なお従前の例による。
新法の施行前にされた復権の申立てに係る事件については、なお従前の例による。
第4条
(否認に関する経過措置)
新法の施行前にされた行為の否認については、新法第六章第二節(新法第百七十一条から第百七十五条までを除く。)及び第二百三十四条から第二百三十六条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。
第5条
(相殺の禁止に関する経過措置)
新法の施行前に破産債権者につき破産者に対する債務負担の原因が生じた場合における破産債権者による相殺の禁止及び新法の施行前に破産者に対して債務を負担する者につき破産債権の取得の原因が生じた場合における当該者による相殺の禁止については、新法第七十一条及び第七十二条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第6条
(罰則の適用に関する経過措置)
新法の施行前にした行為及び附則第三条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における新法の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。この場合における附則第二条の規定による廃止前の破産法(以下この条及び次条において「旧法」という。)第三百七十四条から第三百七十六条まで及び第三百七十八条の規定の適用については、新法の規定によりされた破産手続開始の決定は、旧法の規定によりされた破産の宣告とみなす。
第7条
新法第二百五十四条第一項及び第二百五十五条第一項第四号の規定の適用については、旧法第三百七十四条の罪は、新法第二百六十五条の罪とみなす。
第8条
(政令への委任)
附則第三条から前条までに規定するもののほか、新法の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成16年4月21日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十七年三月一日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則
平成16年6月18日
第1条
(経過措置)
この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。
第2条
(経過措置)
この法律の施行の日が行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日後である場合には、第五十二条のうち商業登記法第百十四条の三及び第百十七条から第百十九条までの改正規定中「第百十四条の三」とあるのは、「第百十四条の四」とする。
附則
平成16年12月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成17年7月26日
この法律は、会社法の施行の日から施行する。
附則
平成18年6月2日
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
附則
平成18年6月14日
この法律は、平成十八年証券取引法改正法の施行の日から施行する。
附則
平成18年6月21日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第31条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為及びこの附則の規定によりなお効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第32条
(その他の経過措置の政令への委任)
附則第三条から第十六条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成18年12月15日
この法律は、新信託法の施行の日から施行する。
附則
平成23年5月25日
この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。
附則
平成23年6月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成23年6月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則
平成23年6月24日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則
平成24年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第79条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第80条
(政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成25年6月19日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第36条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第37条
(政令への委任)
附則第二条から第十五条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第38条
(検討)
政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この条において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

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