読み込み中です。しばらくお待ち下さい。
JavaScriptを有効にして下さい。
  • 会社更生法

会社更生法

平成24年3月31日 改正
第1章
総則
第1条
【目的】
この法律は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において「更生手続」とは、株式会社について、この法律の定めるところにより、更生計画を定め、更生計画が定められた場合にこれを遂行する手続(更生手続開始の申立てについて更生手続開始の決定をするかどうかに関する審理及び裁判をする手続を含む。)をいう。
この法律において「更生計画」とは、更生債権者等又は株主の権利の全部又は一部を変更する条項その他の第167条に規定する条項を定めた計画をいう。
この法律において「更生事件」とは、更生手続に係る事件をいう。
この法律において「更生裁判所」とは、更生事件が係属している地方裁判所をいう。
この法律(第6条第41条第1項第2号第155条第2項第159条第246条第1項から第3項まで、第248条第1項から第3項まで、第250条並びに第255条第1項及び第2項を除く。)において「裁判所」とは、更生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。
この法律において「開始前会社」とは、更生裁判所に更生事件が係属している株式会社であって、更生手続開始の決定がされていないものをいう。
この法律において「更生会社」とは、更生裁判所に更生事件が係属している株式会社であって、更生手続開始の決定がされたものをいう。
この法律において「更生債権」とは、更生会社に対し更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権又は次に掲げる権利であって、更生担保権又は共益債権に該当しないものをいう。
更生手続開始後の利息の請求権
更生手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
更生手続参加の費用の請求権
第58条第1項同条第2項において準用する場合を含む。)に規定する債権
第61条第1項の規定により双務契約が解除された場合における相手方の損害賠償の請求権
第63条において準用する破産法第58条第2項の規定による損害賠償の請求権
第63条において準用する破産法第59条第1項の規定による請求権(更生会社の有するものを除く。)
第91条の2第2項第2号又は第3号に定める権利
この法律において「更生債権者」とは、更生債権を有する者をいう。
10
この法律において「更生担保権」とは、更生手続開始当時更生会社の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権及び商法又は会社法の規定による留置権に限る。)の被担保債権であって更生手続開始前の原因に基づいて生じたもの又は第8項各号に掲げるもの(共益債権であるものを除く。)のうち、当該担保権の目的である財産の価額が更生手続開始の時における時価であるとした場合における当該担保権によって担保された範囲のものをいう。ただし、当該被担保債権(社債を除く。)のうち利息又は不履行による損害賠償若しくは違約金の請求権の部分については、更生手続開始後一年を経過する時(その時までに更生計画認可の決定があるときは、当該決定の時)までに生ずるものに限る。
11
この法律において「更生担保権者」とは、更生担保権を有する者をいう。
12
この法律において「更生債権等」とは、更生債権又は更生担保権をいう。ただし、次章第2節においては、開始前会社について更生手続開始の決定がされたとすれば更生債権又は更生担保権となるものをいう。
13
この法律において「更生債権者等」とは、更生債権者又は更生担保権者をいう。ただし、次章第2節においては、開始前会社について更生手続開始の決定がされたとすれば更生債権者又は更生担保権者となるものをいう。
14
この法律において「更生会社財産」とは、更生会社に属する一切の財産をいう。
15
この法律において「租税等の請求権」とは、国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって、共益債権に該当しないものをいう。
参照条文
会社計算規則第56条 会社更生法施行規則第1条 第2条 会社法及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う法務省関係政令の整備等に関する政令第16条 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第158条 株式会社産業再生機構法第33条 株式会社地域経済活性化支援機構法第37条 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第31条 協同組合による金融事業に関する法律施行規則第10条 金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律第3条 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第341条 第357条 第376条 漁業協同組合等の信用事業等に関する命令第27条 銀行法施行規則第17条の2 経済産業省・財務省・内閣府関係株式会社商工組合中央金庫法施行規則第69条 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法施行規則第38条 信託法第12条 第25条 信用金庫法施行規則第70条 租税特別措置法施行規則第23条の9 第23条の10 租税特別措置法施行令第25条の8の2 長期信用銀行法施行規則第4条の3 農業協同組合及び農業協同組合連合会の信用事業に関する命令第34条 農業協同組合法施行規則第66条 農林中央金庫法施行規則第95条 法人税法施行令第116条の4 保険業法施行規則第24条の12 第56条 労働金庫法施行規則第45条 会社更生規則第1条 第2条 第3条の3 第5条 第13条 第13条の2 第36条 破産規則第13条
第3条
【外国人の地位】
外国人又は外国法人は、更生手続に関し日本人又は日本法人と同一の地位を有する。
第4条
【更生事件の管轄】
この法律の規定による更生手続開始の申立ては、株式会社が日本国内に営業所を有するときに限り、することができる。
第5条
更生事件は、株式会社の主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所がある場合にあっては、日本における主たる営業所の所在地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
前項の規定にかかわらず、更生手続開始の申立ては、株式会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所にもすることができる。
第1項の規定にかかわらず、株式会社が他の株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下同じ。)の過半数を有する場合には、当該他の株式会社(以下この項及び次項において「子株式会社」という。)について更生事件が係属しているときにおける当該株式会社(以下この項及び次項において「親株式会社」という。)についての更生手続開始の申立ては、子株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができ、親株式会社について更生事件が係属しているときにおける子株式会社についての更生手続開始の申立ては、親株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
子株式会社又は親株式会社及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親株式会社の子株式会社とみなして、前項の規定を適用する。
第1項の規定にかかわらず、株式会社が最終事業年度について会社法第444条の規定により当該株式会社及び他の株式会社に係る連結計算書類(同条第1項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し、かつ、当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には、当該他の株式会社について更生事件が係属しているときにおける当該株式会社についての更生手続開始の申立ては、当該他の株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができ、当該株式会社について更生事件が係属しているときにおける当該他の株式会社についての更生手続開始の申立ては、当該株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
第1項の規定にかかわらず、更生手続開始の申立ては、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にもすることができる。
前各項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、更生事件は、先に更生手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
第6条
【専属管轄】
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
第7条
【更生事件の移送】
裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、更生事件を次に掲げる地方裁判所のいずれかに移送することができる。
更生手続開始の申立てに係る株式会社の営業所の所在地を管轄する地方裁判所
前号の株式会社の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所
第5条第2項から第6項までに規定する地方裁判所
第8条
【任意的口頭弁論等】
更生手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
裁判所は、職権で、更生事件に関して必要な調査をすることができる。
裁判所は、必要があると認めるときは、開始前会社又は更生会社の事業を所管する行政庁及び租税等の請求権(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(以下「租税条約等実施特例法」という。)第11条第1項に規定する共助対象外国租税(以下「共助対象外国租税」という。)の請求権を除く。)につき徴収の権限を有する者に対して、当該開始前会社又は当該更生会社の更生手続について意見の陳述を求めることができる。
前項に規定する行政庁又は徴収の権限を有する者は、裁判所に対して、同項に規定する開始前会社又は更生会社の更生手続について意見を述べることができる。
第9条
【不服申立て】
更生手続に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。
第10条
【公告等】
この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。
第11条
【事件に関する文書の閲覧等】
利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第1項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める命令、保全処分、許可又は裁判のいずれかがあるまでの間は、前三項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が更生手続開始の申立人である場合は、この限りでない。
開始前会社以外の利害関係人 第24条第1項若しくは第2項の規定による中止の命令、第25条第2項に規定する包括的禁止命令、第28条第1項の規定による保全処分、第29条第3項の規定による許可、第30条第2項に規定する保全管理命令、第35条第2項に規定する監督命令、第39条の2第1項の規定による保全処分又は更生手続開始の申立てについての裁判
開始前会社 更生手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは開始前会社を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める命令、保全処分、許可若しくは裁判
第12条
【支障部分の閲覧等の制限】
次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、更生会社(開始前会社及び開始前会社又は更生会社であった株式会社を含む。以下この条において同じ。)の事業の維持更生に著しい支障を生ずるおそれ又は更生会社の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した保全管理人、管財人又は調査委員の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者及び更生会社(管財人又は保全管理人が選任されている場合にあっては、管財人又は保全管理人。次項において同じ。)に限ることができる。
第32条第1項ただし書、第46条第2項前段又は第72条第2項第32条第3項において準用する場合を含む。)の許可を得るために裁判所に提出された文書等
第84条第2項の規定による報告又は第125条第2項に規定する調査若しくは意見陳述に係る文書等
前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者及び更生会社を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、更生裁判所に対し、第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
第1項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第1項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
第13条
【民事訴訟法の準用】
更生手続に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用する。
第14条
【最高裁判所規則】
この法律に定めるもののほか、更生手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第15条
削除
第16条
削除
第2章
更生手続開始の申立て及びこれに伴う保全措置
第1節
更生手続開始の申立て
第17条
【更生手続開始の申立て】
株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。)があるときは、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。
破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合
弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合
株式会社に前項第1号に掲げる場合に該当する事実があるときは、次に掲げる者も、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。
当該株式会社の資本金の額の十分の一以上に当たる債権を有する債権者
当該株式会社の総株主の議決権の十分の一以上を有する株主
第18条
【破産手続開始等の申立義務と更生手続開始の申立て】
他の法律の規定により株式会社の清算人が当該株式会社に対して破産手続開始又は特別清算開始の申立てをしなければならない場合においても、更生手続開始の申立てをすることを妨げない。
第19条
【解散後の株式会社による更生手続開始の申立て】
清算中、特別清算中又は破産手続開始後の株式会社がその更生手続開始の申立てをするには、会社法第309条第2項に定める決議によらなければならない。
第20条
【疎明】
更生手続開始の申立てをするときは、第17条第1項に規定する更生手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
第17条第2項の規定により債権者又は株主が申立てをするときは、その有する債権の額又は議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。)の数をも疎明しなければならない。
第21条
【費用の予納】
更生手続開始の申立てをするときは、申立人は、更生手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
参照条文
第22条
【意見の聴取等】
裁判所は、第17条の規定による更生手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てを棄却すべきこと又は更生手続開始の決定をすべきことが明らかである場合を除き、当該申立てについての決定をする前に、開始前会社の使用人の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、開始前会社の使用人の過半数で組織する労働組合がないときは開始前会社の使用人の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
第17条第2項の規定により債権者又は株主が更生手続開始の申立てをした場合においては、裁判所は、当該申立てについての決定をするには、開始前会社の代表者(外国に本店があるときは、日本における代表者)を審尋しなければならない。
第23条
【更生手続開始の申立ての取下げの制限】
更生手続開始の申立てをした者は、更生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、次条第1項若しくは第2項の規定による中止の命令、第25条第2項に規定する包括的禁止命令、第28条第1項の規定による保全処分、第29条第3項の規定による許可、第30条第2項に規定する保全管理命令、第35条第2項に規定する監督命令又は第39条の2第1項の規定による保全処分があった後は、裁判所の許可を得なければならない。
第2節
更生手続開始の申立てに伴う保全措置
第1款
開始前会社に関する他の手続の中止命令等
第24条
【他の手続の中止命令等】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第2号に掲げる手続又は第6号に掲げる処分については、その手続の申立人である更生債権者等又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
開始前会社についての破産手続、再生手続又は特別清算手続
強制執行等(更生債権等に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行又は更生債権等を被担保債権とする留置権による競売をいう。)の手続で、開始前会社の財産に対して既にされているもの
開始前会社に対して既にされている企業担保権の実行手続
開始前会社の財産関係の訴訟手続
開始前会社の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続
外国租税滞納処分(共助対象外国租税の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(共益債権を徴収するためのものを除く。)をいう。)で、開始前会社の財産に対して既にされているもの
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、国税滞納処分(共益債権を徴収するためのものを除き、国税滞納処分の例による処分(共益債権及び共助対象外国租税の請求権を徴収するためのものを除く。)を含む。)で、開始前会社の財産に対して既にされているものの中止を命ずることができる。ただし、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
前項の規定による中止の命令は、更生手続開始の申立てについて決定があったとき、又は中止を命ずる決定があった日から二月を経過したときは、その効力を失う。
裁判所は、第1項及び第2項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第1項第2号の規定により中止した同号に規定する強制執行等の手続、同項第6号の規定により中止した同号に規定する外国租税滞納処分又は第2項の規定により中止した同項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずることができる。ただし、当該国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
第1項又は第2項の規定による中止の命令、第4項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第6項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第25条
【包括的禁止命令】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、前条第1項第2号若しくは第6号又は第2項の規定による中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての更生債権者等に対し、同条第1項第2号に規定する強制執行等、同項第6号に規定する外国租税滞納処分及び同条第2項に規定する国税滞納処分の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、開始前会社の主要な財産に関し第28条第1項の規定による保全処分をした場合又は第30条第2項に規定する保全管理命令若しくは第35条第2項に規定する監督命令をした場合に限る。
前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)を発する場合において、裁判所は、相当と認めるときは、一定の範囲に属する前条第1項第2号に規定する強制執行等、同項第6号に規定する外国租税滞納処分又は同条第2項に規定する国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができる。
包括的禁止命令が発せられた場合には、次の各号に掲げる手続で、開始前会社の財産に対して既にされているもの(当該包括的禁止命令により禁止されることとなるものに限る。)は、当該各号に定める時までの間、中止する。
前条第1項第2号に規定する強制執行等の手続及び同項第6号に規定する外国租税滞納処分 更生手続開始の申立てについての決定があった時
前条第2項に規定する国税滞納処分 前号に定める時又は当該包括的禁止命令の日から二月が経過した時のいずれか早い時
裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。
裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第3項の規定により中止した同項各号に掲げる手続の取消しを命ずることができる。ただし、前条第2項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
包括的禁止命令、第4項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
包括的禁止命令が発せられたときは、更生債権等(当該包括的禁止命令により前条第1項第2号に規定する強制執行等又は同条第2項に規定する国税滞納処分が禁止されているものに限る。)については、当該包括的禁止命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
第26条
【包括的禁止命令に関する公告及び送達等】
包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定があった場合には、その旨を公告し、その裁判書を開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。次項において同じ。)及び申立人に送達し、かつ、その決定の主文を知れている更生債権者等及び開始前会社(保全管理人が選任されている場合に限る。)に通知しなければならない。
包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定は、開始前会社に対する裁判書の送達がされた時から、効力を生ずる。
前条第5項の規定による取消しの命令及び同条第6項の即時抗告についての裁判(包括的禁止命令を変更し、又は取り消す旨の決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第27条
【包括的禁止命令の解除】
裁判所は、包括的禁止命令を発した場合において、第24条第1項第2号に規定する強制執行等の申立人である更生債権者等に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該更生債権者等の申立てにより、当該更生債権者等に限り当該包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができる。この場合において、当該更生債権者等は、開始前会社の財産に対する当該強制執行等をすることができ、当該包括的禁止命令が発せられる前に当該更生債権者等がした当該強制執行等の手続は、続行する。
前項の規定は、裁判所が第24条第1項第6号に規定する外国租税滞納処分又は同条第2項に規定する国税滞納処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認める場合について準用する。
第1項前項において準用する場合を含む。次項及び第6項において同じ。)の規定による解除の決定を受けた者に対する第25条第8項の規定の適用については、同項中「当該包括的禁止命令が効力を失った日」とあるのは、「第27条第1項同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による解除の決定があった日」とする。
第1項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第1項の申立てについての裁判及び第4項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
第2款
開始前会社の業務及び財産に関する保全処分等
第28条
【開始前会社の業務及び財産に関する保全処分】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、開始前会社の業務及び財産に関し、開始前会社の財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
第1項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第3項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
裁判所が第1項の規定により開始前会社が更生債権者等に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、更生債権者等は、更生手続の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、更生債権者等が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
第29条
【更生手続開始前における商事留置権の消滅請求】
開始前会社の財産につき商法又は会社法の規定による留置権がある場合において、当該財産が開始前会社の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)は、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、留置権者に対して、当該留置権の消滅を請求することができる。
前項の請求をするには、同項の財産の価額に相当する金銭を、同項の留置権者に弁済しなければならない。
第1項の請求及び前項の弁済をするには、裁判所の許可を得なければならない。
前項の規定による許可があった場合における第2項の弁済の額が第1項の財産の価額を満たすときは、当該弁済の時又は同項の請求の時のいずれか遅い時に、同項の留置権は消滅する。
前項の規定により第1項の留置権が消滅したことを原因とする同項の財産の返還を求める訴訟においては、第2項の弁済の額が当該財産の価額を満たさない場合においても、原告の申立てがあり、当該訴訟の受訴裁判所が相当と認めるときは、当該受訴裁判所は、相当の期間内に不足額を弁済することを条件として、第1項の留置権者に対して、当該財産を返還することを命ずることができる。
第3款
保全管理命令
第30条
【保全管理命令】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、開始前会社の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。
裁判所は、前項の処分(以下「保全管理命令」という。)をする場合には、当該保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない。ただし、第67条第3項に規定する者は、保全管理人に選任することができない。
裁判所は、保全管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
保全管理命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第31条
【保全管理命令に関する公告及び送達】
裁判所は、保全管理命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。保全管理命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。
保全管理命令、前条第3項の規定による決定及び同条第4項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第10条第4項の規定は、第1項の場合については、適用しない。
第32条
【保全管理人の権限】
保全管理命令が発せられたときは、開始前会社の事業の経営並びに財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属する。ただし、保全管理人が開始前会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
第72条第2項及び第3項の規定は、保全管理人について準用する。
第33条
【保全管理人代理】
保全管理人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の保全管理人代理を選任することができる。ただし、第67条第3項に規定する者は、保全管理人代理に選任することができない。
前項の保全管理人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
第34条
【準用】
第54条第57条第59条第67条第2項第68条第69条第73条第74条第1項第76条から第80条まで、第81条第1項から第4項まで及び第82条第1項から第3項までの規定は保全管理人について、第81条第1項から第4項までの規定は保全管理人代理について、それぞれ準用する。この場合において、第59条中「第43条第1項の規定による公告」とあるのは「第31条第1項の規定による公告」と、第82条第2項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人又は管財人」と、同条第3項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人、管財人」と読み替えるものとする。
第52条第1項から第3項までの規定は保全管理命令が発せられた場合について、同条第4項から第6項までの規定は保全管理命令が効力を失った場合(更生手続開始の決定があった場合を除く。)について、それぞれ準用する。
開始前会社の財産関係の事件で行政庁に係属するものについては、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める規定を準用する。
保全管理命令が発せられた場合 第52条第1項から第3項まで
保全管理命令が効力を失った場合(更生手続開始の決定があった場合を除く。) 第52条第4項から第6項まで
第65条の規定は、保全管理人が選任されている期間中に取締役、執行役又は清算人が自己又は第三者のために開始前会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合について準用する。
第66条第1項本文の規定は、保全管理人が選任されている期間中における開始前会社の取締役、会計参与、監査役、執行役及び清算人について準用する。
第4款
監督命令
第35条
【監督命令】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、監督委員による監督を命ずる処分をすることができる。
裁判所は、前項の処分(以下「監督命令」という。)をする場合には、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ開始前会社がすることができない行為を指定しなければならない。
前項に規定する監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
裁判所は、監督命令を変更し、又は取り消すことができる。
監督命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第36条
【監督命令に関する公告及び送達】
裁判所は、監督命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。監督命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。
監督命令、前条第4項の規定による決定及び同条第5項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
第10条第4項の規定は、第1項の場合については、適用しない。
第37条
【取締役等の管財人の適性に関する調査】
裁判所は、監督委員に対して、開始前会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人若しくは清算人若しくはこれらの者であった者又は発起人、設立時取締役若しくは設立時監査役であった者のうち裁判所の指定する者が管財人又は管財人代理の職務を行うに適した者であるかどうかについて調査し、かつ、裁判所の定める期間内に当該調査の結果を報告すべきことを命ずることができる。
第38条
【準用】
第67条第2項第68条第69条第1項第77条第80条及び第81条第1項から第4項までの規定は、監督委員について準用する。
参照条文
第5款
更生手続開始前の調査命令等
第39条
【更生手続開始前の調査命令】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、次に掲げる事項の全部又は一部を対象とする第125条第2項に規定する調査命令を発することができる。
第17条第1項に規定する更生手続開始の原因となる事実及び第41条第1項第2号から第4号までに掲げる事由の有無、開始前会社の業務及び財産の状況その他更生手続開始の申立てについての判断をするのに必要な事項並びに更生手続を開始することの当否
第28条第1項の規定による保全処分、保全管理命令、監督命令、次条若しくは第40条の規定による保全処分又は第100条第1項に規定する役員等責任査定決定を必要とする事情の有無及びその処分、命令又は決定の要否
その他更生事件に関し調査委員による調査又は意見陳述を必要とする事項
参照条文
第39条の2
【否認権のための保全処分】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間において、否認権を保全するため必要があると認めるときは、利害関係人(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
前項の規定による保全処分は、担保を立てさせて、又は立てさせないで命ずることができる。
裁判所は、申立てにより又は職権で、第1項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
第1項の規定による保全処分及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第4項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
第40条
【更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分】
裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、第99条第1項各号に掲げる保全処分をすることができる。
第99条第2項から第5項までの規定は、前項の規定による保全処分があった場合について準用する。
参照条文
第3章
更生手続開始の決定及びこれに伴う効果等
第1節
更生手続開始の決定
第41条
【更生手続開始の決定】
裁判所は、第17条の規定による更生手続開始の申立てがあった場合において、同条第1項に規定する更生手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、更生手続開始の決定をする。
更生手続の費用の予納がないとき。
裁判所に破産手続、再生手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
事業の継続を内容とする更生計画案の作成若しくは可決の見込み又は事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
不当な目的で更生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
第42条
【更生手続開始の決定と同時に定めるべき事項】
裁判所は、更生手続開始の決定と同時に、一人又は数人の管財人を選任し、かつ、更生債権等の届出をすべき期間及び更生債権等の調査をするための期間を定めなければならない。
前項の場合において、知れている更生債権者等の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第5項本文において準用する同条第3項第1号及び第44条第3項本文の規定による知れている更生債権者等に対する通知をせず、かつ、第138条から第140条まで又は第142条の規定により更生債権等の届出をした更生債権者等(以下「届出をした更生債権者等」という。)を関係人集会(更生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。
第43条
【更生手続開始の公告等】
裁判所は、更生手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。ただし、第5号に規定する社債管理者等がないときは、同号に掲げる事項については、公告することを要しない。
更生手続開始の決定の主文
管財人の氏名又は名称
前条第1項の規定により定めた期間
財産所持者等(更生会社の財産の所持者及び更生会社に対して債務を負担する者をいう。)は、更生会社にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
更生会社が発行した社債について社債管理者等(社債管理者又は担保付社債信託法第2条第1項に規定する信託契約の受託会社をいう。)がある場合における当該社債についての更生債権者等の議決権は、第190条第1項各号のいずれかに該当する場合(同条第3項の場合を除く。)でなければ行使することができない旨
前条第2項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第5項本文において準用する次項第1号及び次条第3項本文の規定による知れている更生債権者等に対する通知をせず、かつ、届出をした更生債権者等を関係人集会(更生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。
次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
管財人、更生会社及び知れている更生債権者等
知れている株主
第1項第4号に規定する財産所持者等であって知れているもの
保全管理命令、監督命令又は第39条の規定による調査命令があった場合における保全管理人、監督委員又は調査委員
前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める者に対しては、同項の規定による通知をすることを要しない。
更生会社がその財産をもって約定劣後更生債権(更生債権者と更生会社との間において、更生手続開始前に、当該会社について破産手続が開始されたとすれば当該破産手続におけるその配当の順位が破産法第99条第1項に規定する劣後的破産債権に後れる旨の合意がされた債権をいう。以下同じ。)に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にあることが明らかである場合 約定劣後更生債権を有する者であって知れているもの
更生会社がその財産をもって債務を完済することができない状態にあることが明らかである場合 知れている株主
第1項第2号第3項第1号から第3号まで及び前項の規定は第1項第2号に掲げる事項に変更を生じた場合について、第1項第3号第3項第1号及び第2号並びに前項の規定は第1項第3号に掲げる事項に変更を生じた場合(更生債権等の届出をすべき期間に変更を生じた場合に限る。)について準用する。ただし、前条第2項の決定があったときは、知れている更生債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。
第44条
【抗告】
更生手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前章第2節の規定は、更生手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。
更生手続開始の決定をした裁判所は、第1項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第3項各号(第4号を除く。)に掲げる者(同条第4項の規定により通知を受けなかった者を除く。)にその主文を通知しなければならない。ただし、第42条第2項の決定があったときは、知れている更生債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。
第2節
更生手続開始の決定に伴う効果
第45条
【更生会社の組織に関する基本的事項の変更の禁止】
更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによらなければ、更生会社について次に掲げる行為を行うことができない。
株式の消却、併合若しくは分割、株式無償割当て又は募集株式(会社法第199条第1項に規定する募集株式をいう。以下同じ。)を引き受ける者の募集
募集新株予約権(会社法第238条第1項に規定する募集新株予約権をいう。以下同じ。)を引き受ける者の募集、新株予約権の消却又は新株予約権無償割当て
資本金又は準備金(資本準備金及び利益準備金をいう。以下同じ。)の額の減少
剰余金の配当その他の会社法第461条第1項各号に掲げる行為
解散又は株式会社の継続
募集社債(会社法第676条に規定する募集社債をいう。以下同じ。)を引き受ける者の募集
持分会社への組織変更又は合併、会社分割、株式交換若しくは株式移転
更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによるか、又は裁判所の許可を得なければ、更生会社の定款の変更をすることができない。
第46条
【事業の譲渡】
更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによらなければ、更生会社の事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡(会社法第467条第1項第2号に規定する事業の重要な一部の譲渡をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。ただし、次項から第8項までの規定により更生会社の事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡をする場合は、この限りでない。
更生手続開始後更生計画案を決議に付する旨の決定がされるまでの間においては、管財人は、裁判所の許可を得て、更生会社の事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡をすることができる。この場合において、裁判所は、当該譲渡が当該更生会社の事業の更生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。
裁判所は、前項の許可をする場合には、次に掲げる者の意見を聴かなければならない。
知れている更生債権者(更生会社が更生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後更生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にある場合における当該約定劣後更生債権を有する者を除く。)。ただし、第117条第2項に規定する更生債権者委員会があるときは、その意見を聴けば足りる。
知れている更生担保権者。ただし、第117条第6項に規定する更生担保権者委員会があるときは、その意見を聴けば足りる。
労働組合等(更生会社の使用人の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、更生会社の使用人の過半数で組織する労働組合がないときは更生会社の使用人の過半数を代表する者をいう。)
管財人は、第2項の規定により更生会社の事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡をしようとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を公告し、又は株主に通知しなければならない。
当該譲渡の相手方、時期及び対価並びに当該譲渡の対象となる事業の内容
当該譲渡に反対の意思を有する株主は、当該公告又は当該通知があった日から二週間以内にその旨を書面をもって管財人に通知すべき旨
前項の規定による株主に対する通知は、株主名簿に記載され、若しくは記録された住所又は株主が更生会社若しくは管財人に通知した場所若しくは連絡先にあてて、することができる。
第4項の規定による株主に対する通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第2項の許可をすることができない。
第4項の規定による公告又は通知があった日から一月を経過した後に第2項の許可の申立てがあったとき。
第4項第2号に規定する期間内に、更生会社の総株主の議決権の三分の一を超える議決権を有する株主が、書面をもって管財人に第2項の譲渡に反対の意思を有する旨の通知をしたとき。
第4項から前項までの規定は、第2項の規定による更生会社の事業の全部の譲渡若しくは事業の重要な一部の譲渡に係る契約の相手方が更生会社の特別支配会社(会社法第468条第1項に規定する特別支配会社をいう。)である場合又は第2項の許可の時において更生会社がその財産をもって債務を完済することができない状態にある場合には、適用しない。
第2項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
10
第2項の許可を得て更生会社の事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡をする場合には、会社法第2編第7章の規定は、適用しない。
第47条
【更生債権等の弁済の禁止】
更生債権等については、更生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、更生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、更生会社と同項の中小企業者との取引の状況、更生会社の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。
管財人は、更生債権者等から第2項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
第2項から前項までの規定は、約定劣後更生債権である更生債権については、適用しない。
第1項の規定は、次に掲げる事由により、更生債権等である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)が消滅する場合には、適用しない。
第24条第2項に規定する国税滞納処分(当該国税滞納処分又はその続行が許される場合に限る。)
第24条第2項に規定する国税滞納処分による差押えを受けた更生会社の債権(差押えの効力の及ぶ債権を含む。)の第三債務者が当該国税滞納処分の中止中に徴収の権限を有する者に対して任意にした給付
徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当
管財人が裁判所の許可を得てした弁済
第47条の2
【管財人による相殺】
管財人は、更生会社財産に属する債権をもって更生債権等と相殺することが更生債権者等の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。
第48条
【相殺権】
更生債権者等が更生手続開始当時更生会社に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第138条第1項に規定する債権届出期間の満了前に相殺に適するようになったときは、更生債権者等は、当該債権届出期間内に限り、更生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。
更生債権者等が更生手続開始当時更生会社に対して負担する債務が賃料債務である場合には、更生債権者等は、更生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務(前項の債権届出期間の満了後にその弁済期が到来すべきものを含む。次項において同じ。)については、更生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額を限度として、前項の債権届出期間内に限り、更生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。
前項に規定する場合において、更生債権者等が、更生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務について、更生手続開始後その弁済期に弁済をしたときは、更生債権者等が有する敷金の返還請求権は、更生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額(同項の規定により相殺をする場合には、相殺により免れる賃料債務の額を控除した額)の範囲内におけるその弁済額を限度として、共益債権とする。
前二項の規定は、地代又は小作料の支払を目的とする債務について準用する。
第49条
【相殺の禁止】
更生債権者等は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
更生手続開始後に更生会社に対して債務を負担したとき。
支払不能(更生会社が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら更生債権等をもってする相殺に供する目的で更生会社の財産の処分を内容とする契約を更生会社との間で締結し、又は更生会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより更生会社に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に更生会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
更生手続開始、破産手続開始、再生手続開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「更生手続開始の申立て等」という。)があった後に更生会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、更生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。
前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
法定の原因
支払不能であったこと又は支払の停止若しくは更生手続開始の申立て等があったことを更生債権者等が知った時より前に生じた原因
更生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因
第49条の2
更生会社に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
更生手続開始後に他人の更生債権等を取得したとき。
支払不能になった後に更生債権等を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に更生債権等を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
更生手続開始の申立て等があった後に更生債権等を取得した場合であって、その取得の当時、更生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。
前項第2号から第4号までの規定は、これらの規定に規定する更生債権等の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
法定の原因
支払不能であったこと又は支払の停止若しくは更生手続開始の申立て等があったことを更生会社に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
更生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因
更生会社に対して債務を負担する者と更生会社との間の契約
第50条
【他の手続の中止等】
更生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、更生会社の財産に対する第24条第1項第2号に規定する強制執行等、企業担保権の実行若しくは同項第6号に規定する外国租税滞納処分又は更生債権等に基づく財産開示手続の申立てはすることができず、破産手続、再生手続、更生会社の財産に対して既にされている同項第2号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続及び同項第6号に規定する外国租税滞納処分並びに更生債権等に基づく財産開示手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
更生手続開始の決定があったときは、当該決定の日から一年間(一年経過前に更生計画が認可されることなく更生手続が終了し、又は更生計画が認可されたときは、当該終了又は当該認可の時までの間)は、更生会社の財産に対する第24条第2項に規定する国税滞納処分はすることができず、更生会社の財産に対して既にされている同項に規定する国税滞納処分は中止する。
裁判所は、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、前項の一年の期間を伸長することができる。ただし、裁判所は、あらかじめ、徴収の権限を有する者の同意を得なければならない。
徴収の権限を有する者は、前項の同意をすることができる。
裁判所は、更生に支障を来さないと認めるときは、管財人若しくは租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)につき徴収の権限を有する者の申立てにより又は職権で、次に掲げる手続又は処分の続行を命ずることができる。
第1項の規定により中止した第24条第1項第2号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続又は同項第6号に規定する外国租税滞納処分
第2項の規定により中止した第24条第2項に規定する国税滞納処分
裁判所は、更生のため必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、前項各号に掲げる手続又は処分の取消しを命ずることができる。
裁判所は、更生計画案を決議に付する旨の決定があるまでの間において、更生担保権に係る担保権の目的である財産で、更生会社の事業の更生のために必要でないことが明らかなものがあるときは、管財人の申立てにより又は職権で、当該財産について第1項の規定による担保権の実行の禁止を解除する旨の決定をすることができる。
管財人は、更生担保権者から前項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
更生手続開始の決定があったときは、次に掲げる請求権は、共益債権とする。
第1項の規定により中止した破産手続における財団債権(破産法第148条第1項第3号に掲げる請求権を除き、破産手続が開始されなかった場合における同法第55条第2項及び第148条第4項に規定する請求権を含む。)又は再生手続における共益債権(再生手続が開始されなかった場合における民事再生法第50条第2項並びに第120条第3項及び第4項に規定する請求権を含む。)
第1項の規定により効力を失った手続のために更生会社に対して生じた債権及びその手続に関する更生会社に対する費用請求権
第5項の規定により続行された手続又は処分に関する更生会社に対する費用請求権
第7項の解除の決定により申立てが可能となった担保権の実行手続に関する更生会社に対する費用請求権
10
第24条第2項に規定する国税滞納処分により徴収すべき徴収金の請求権の時効は、第2項及び第3項の規定により当該国税滞納処分をすることができず、又は当該国税滞納処分が中止している期間は、進行しない。
11
更生手続開始の決定があったときは、更生手続が終了するまでの間(更生計画認可の決定があったときは、第204条第2項に規定する更生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に更生計画に基づく弁済が完了した場合にあっては、弁済が完了した時)までの間)は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
第51条
【続行された強制執行等における配当等に充てるべき金銭の取扱い】
前条第5項の規定により続行された手続又は処分及び同条第7項の解除の決定により申立てが可能となった担保権の実行手続においては、配当又は弁済金の交付(以下この条において「配当等」という。)を実施することができない。ただし、前条第5項第2号の規定により続行された処分における租税等の請求権に対する配当等については、この限りでない。
前項本文に規定する手続(更生債権等を被担保債権とする留置権であって、商法又は会社法の規定以外の規定によるものによる競売の手続を除く。次項において同じ。)又は処分においては、配当等に充てるべき金銭が生じたとき(その時点において更生計画認可の決定がない場合は、当該決定があったとき)は、管財人(第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復した場合又は更生手続終了後は、更生会社)に対して、当該金銭に相当する額(前項ただし書の規定により配当等が実施されたときは、当該配当等の額を控除した額)の金銭を交付しなければならない。
更生計画認可の決定前に更生手続が終了したときは、第1項本文の規定にかかわらず、同項本文に規定する手続又は処分においては、その手続又は処分の性質に反しない限り、配当等に充てるべき金銭(同項ただし書の規定により配当等が実施されたものを除く。)について、配当等を実施しなければならない。
第52条
【更生会社の財産関係の訴えの取扱い】
更生手続開始の決定があったときは、更生会社の財産関係の訴訟手続は、中断する。
管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち更生債権等に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
前項の場合においては、相手方の更生会社に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
更生手続が終了したときは、管財人を当事者とする更生会社の財産関係の訴訟手続は、中断する。
更生会社であった株式会社は、前項の規定により中断した訴訟手続(第234条第3号又は第4号に掲げる事由が生じた場合における第97条第1項の訴えに係る訴訟手続を除く。)を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに更生手続が終了したときは、更生会社であった株式会社は、当然訴訟手続を受継する。
第52条の2
【債権者代位訴訟、詐害行為取消訴訟等の取扱い】
民法第423条若しくは第424条の規定により更生債権者の提起した訴訟又は破産法若しくは民事再生法の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟が更生手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
前項の場合においては、相手方の更生債権者、破産管財人又は再生手続における管財人若しくは否認権限を有する監督委員(民事再生法第128条第2項に規定する否認権限を有する監督委員をいう。第5項において同じ。)に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があった後に更生手続が終了したときは、当該訴訟手続は中断する。
前項の場合には、更生債権者、破産管財人又は再生手続における管財人若しくは否認権限を有する監督委員において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに更生手続が終了したときは、前項前段に規定する者は、当該訴訟手続を当然受継する。
第53条
【行政庁に係属する事件の取扱い】
第52条の規定は、更生会社の財産関係の事件で行政庁に係属するものについて準用する。
第54条
【更生会社のした法律行為の効力】
更生会社が更生手続開始後に更生会社財産に関してした法律行為は、更生手続の関係においては、その効力を主張することができない。
株式会社が当該株式会社についての更生手続開始の決定があった日にした法律行為は、更生手続開始後にしたものと推定する。
第55条
【管財人等の行為によらない更生債権者等の権利取得の効力】
更生債権者等は、更生手続開始後、更生債権等につき更生会社財産に関して管財人又は更生会社の行為によらないで権利を取得しても、更生手続の関係においては、その効力を主張することができない。
前条第2項の規定は、更生手続開始の決定があった日における前項の権利の取得について準用する。
第56条
【登記及び登録の効力】
不動産又は船舶に関し更生手続開始前に生じた登記原因に基づき更生手続開始後にされた登記又は不動産登記法第105条第1号の規定による仮登記は、更生手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が更生手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
第57条
【更生会社に対する弁済の効力】
更生手続開始後に、その事実を知らないで更生会社にした弁済は、更生手続の関係においても、その効力を主張することができる。
更生手続開始後に、その事実を知って更生会社にした弁済は、更生会社財産が受けた利益の限度においてのみ、更生手続の関係において、その効力を主張することができる。
第58条
【為替手形の引受け又は支払等】
為替手形の振出人又は裏書人である株式会社について更生手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、更生債権者としてその権利を行うことができる。
前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。
第59条
【善意又は悪意の推定】
前三条の規定の適用については、第43条第1項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。
第60条
【共有関係】
更生会社が他人と共同して財産権を有する場合において、更生手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない定めがあるときでも、分割の請求をすることができる。
前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って更生会社の持分を取得することができる。
第61条
【双務契約】
双務契約について更生会社及びその相手方が更生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、管財人は、契約の解除をし、又は更生会社の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
前項の場合には、相手方は、管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、管財人がその期間内に確答をしないときは、同項の規定による解除権を放棄したものとみなす。
前二項の規定は、労働協約には、適用しない。
第1項の規定により更生会社の債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は、共益債権とする。
破産法第54条の規定は、第1項の規定による契約の解除があった場合について準用する。この場合において、同条第1項中「破産債権者」とあるのは「更生債権者」と、同条第2項中「破産者」とあるのは「更生会社」と、「破産財団」とあるのは「更生会社財産」と、「財団債権者」とあるのは「共益債権者」と読み替えるものとする。
第62条
【継続的給付を目的とする双務契約】
更生会社に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、更生手続開始の申立て前の給付に係る更生債権等について弁済がないことを理由としては、更生手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。
前項の双務契約の相手方が更生手続開始の申立て後更生手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、共益債権とする。
前二項の規定は、労働契約には、適用しない。
第63条
【双務契約についての破産法の準用】
破産法第56条第58条及び第59条の規定は、更生手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第56条第1項中「第53条第1項及び第2項」とあるのは「会社更生法第61条第1項及び第2項」と、「破産者」とあるのは「更生会社」と、同条第2項中「財団債権」とあるのは「共益債権」と、同法第58条第1項中「破産手続開始」とあるのは「更生手続開始」と、同条第3項において準用する同法第54条第1項中「破産債権者」とあるのは「更生債権者」と、同法第59条第1項中「破産手続」とあるのは「更生手続」と、同条第2項中「請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し」とあるのは「請求権は」と、「破産債権」とあるのは「更生債権」と読み替えるものとする。
参照条文
第64条
【取戻権】
更生手続の開始は、更生会社に属しない財産を更生会社から取り戻す権利に影響を及ぼさない。
破産法第63条及び第64条の規定は、更生手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第63条第1項中「破産手続開始の決定」とあるのは「更生手続開始の決定」と、同項ただし書及び同法第64条中「破産管財人」とあるのは「管財人」と、同法第63条第2項中「第53条第1項及び第2項」とあるのは「会社更生法第61条第1項及び第2項」と、同条第3項中「第1項」とあるのは「前二項」と、「同項」とあるのは「第1項」と、同法第64条第1項中「破産者」とあるのは「株式会社」と、「破産手続開始」とあるのは「更生手続開始」と読み替えるものとする。
第65条
【取締役等の競業の制限】
更生会社の取締役、執行役又は清算人は、更生手続開始後その終了までの間において自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、会社法第356条第1項同法第419条第2項又は第482条第4項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、管財人に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。ただし、第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中は、この限りでない。
前項本文の取引をした取締役、執行役又は清算人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を管財人に報告しなければならない。
更生会社の取締役、執行役又は清算人が第1項本文の規定に違反して同項本文の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役、清算人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
第66条
【取締役等の報酬等】
更生会社の取締役、会計参与、監査役、執行役及び清算人は、更生会社に対して、更生手続開始後その終了までの間の報酬等(会社法第361条第1項に規定する報酬等をいう。次項において同じ。)を請求することができない。ただし、第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中は、この限りでない。
前項ただし書の場合における取締役、会計参与、監査役、執行役及び清算人が受ける個人別の報酬等の内容は、会社法第361条第1項同法第482条第4項において準用する場合を含む。)、第379条第1項及び第2項第387条第1項及び第2項並びに第404条第3項の規定にかかわらず、管財人が、裁判所の許可を得て定める。
第3節
管財人
第1款
管財人の選任及び監督
第67条
【管財人の選任】
管財人は、裁判所が選任する。
法人は、管財人となることができる。
裁判所は、第100条第1項に規定する役員等責任査定決定を受けるおそれがあると認められる者は、管財人に選任することができない。
第68条
【管財人に対する監督等】
管財人は、裁判所が監督する。
裁判所は、管財人が更生会社の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、その管財人を審尋しなければならない。
第69条
【数人の管財人の職務執行】
管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
第70条
【管財人代理】
管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。ただし、第67条第3項に規定する者は、管財人代理に選任することができない。
前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
第71条
【法律顧問】
管財人は、更生手続において生ずる法律問題(法律事件に関するものを除く。)について自己を助言する者(以下「法律顧問」という。)を選任するには、裁判所の許可を得なければならない。
第2款
管財人の権限等
第72条
【管財人の権限】
更生手続開始の決定があった場合には、更生会社の事業の経営並びに財産(日本国内にあるかどうかを問わない。第4項において同じ。)の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。
裁判所は、更生手続開始後において、必要があると認めるときは、管財人が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
財産の処分
財産の譲受け
借財
第61条第1項の規定による契約の解除
訴えの提起
和解又は仲裁合意(仲裁法第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)
権利の放棄
共益債権又は第64条第1項に規定する権利の承認
更生担保権に係る担保の変換
その他裁判所の指定する行為
前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
前三項の規定については、更生計画の定め又は裁判所の決定で、更生計画認可の決定後の更生会社に対しては適用しないこととすることができる。この場合においては、管財人は、更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分を監督する。
裁判所は、更生計画に前項前段の規定による定めがない場合において必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、同項前段の規定による決定をする。
裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、前項の規定による決定を取り消すことができる。
前二項の規定による決定があったときは、その旨を公告し、かつ、その裁判書を管財人及び更生会社に送達しなければならない。この場合においては、第10条第4項の規定は、適用しない。
第73条
【更生会社の業務及び財産の管理】
管財人は、就職の後直ちに更生会社の業務及び財産の管理に着手しなければならない。
第74条
【当事者適格等】
更生会社の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。
前項の規定は、第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中に新たに提起された更生会社の財産関係の訴えについては、適用しない。
第52条第1項第2項及び第6項の規定は、第72条第4項前段の規定による更生計画の定め又は裁判所の決定が取り消された場合における前項の訴えについて準用する。
第75条
【郵便物等の管理】
裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、更生会社にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第3項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
裁判所は、更生会社の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
更生手続が終了したときは、裁判所は、第1項に規定する嘱託を取り消さなければならない。第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復したときも、同様とする。
第1項又は第2項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、更生会社又は管財人は、即時抗告をすることができる。
第1項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第76条
管財人は、更生会社にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
更生会社は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で更生会社財産に関しないものの交付を求めることができる。
第77条
【更生会社及び子会社に対する調査】
管財人は、更生会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、清算人及び使用人その他の従業者並びにこれらの者であった者並びに発起人、設立時取締役及び設立時監査役であった者に対して更生会社の業務及び財産の状況につき報告を求め、又は更生会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
管財人は、その職務を行うため必要があるときは、更生会社の子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社をいう。)に対してその業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
第78条
【管財人の自己取引】
管財人は、裁判所の許可を得なければ、更生会社の財産を譲り受け、更生会社に対して自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために更生会社と取引をすることができない。
前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
第79条
【管財人の競業の制限】
管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。
管財人が第1項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
第80条
【管財人の注意義務】
管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
管財人が前項の注意を怠ったときは、その管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。
第80条の2
【管財人の情報提供努力義務】
管財人は、更生債権等である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し、更生手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならない。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条
(更生事件に関する経過措置)
この法律の施行前にされた更生手続開始の申立てに係る株式会社の更生事件については、なお従前の例による。
第3条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及び前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成15年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十五年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第188条
(会社更生法の一部改正に伴う経過措置)
前条の規定(第百二十九条の改正規定に限る。以下この項において同じ。)の施行の際に納期限の到来していない石油税は、納期限の到来していない石油石炭税とみなして、前条の規定による改正後の会社更生法第百二十九条の規定を適用する。
前条の規定による改正後の会社更生法第二百五十二条第八項の規定は、施行日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用し、施行日前に受けた登記に係る登録免許税については、なお従前の例による。
附則
平成15年8月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成15年8月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成16年6月2日
第1条
(施行期日)
この法律は、破産法(次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。
第3条
(会社更生法の一部改正に伴う経過措置)
施行日前にされた第二条の規定による改正前の会社更生法(附則第五条第一項、第九項及び第十七項、第十二条第一項並びに第十三条において「旧会社更生法」という。)第十七条又は第二百四十四条第一項の規定による更生手続開始の申立てに係る更生事件(第二条の規定による改正後の会社更生法(以下この条並びに附則第五条第二項から第四項まで、第六項、第七項、第十項から第十二項まで、第十四項、第十五項及び第十七項並びに第十二条第一項第二号及び第三号並びに第二項第二号において「新会社更生法」という。)第二条第三項に規定する更生事件をいう。次項から第五項まで、第七項及び第八項において同じ。)については、なお従前の例による。
前項の規定にかかわらず、同項の更生事件における破産手続開始前の更生会社(新会社更生法第二条第七項に規定する更生会社をいう。以下この条(第七項を除く。)において同じ。)について施行日以後に新会社更生法第二百五十一条第一項前段に規定する更生手続開始の決定の取消し、更生手続廃止若しくは更生計画不認可の決定があった場合又は第一項の更生事件における破産手続開始後の更生会社について施行日以後に同条第一項後段に規定する更生計画認可の決定により破産手続が効力を失った後に新会社更生法第二百四十一条第一項に規定する更生手続廃止の決定があった場合には、新会社更生法第二百五十一条の規定を適用する。
第一項の規定にかかわらず、同項の更生事件における破産手続開始前の株式会社について施行日以後に新会社更生法第二百五十二条第一項本文に規定する新会社更生法第二百三十四条第一号から第四号までに掲げる事由のいずれかが生じた場合又は第一項の更生事件における破産手続開始後の更生会社について施行日以後に新会社更生法第二百五十二条第二項本文に規定する更生計画認可の決定により破産手続が効力を失った後に新会社更生法第二百四十一条第一項に規定する更生手続廃止の決定が確定した場合には、新会社更生法第二百五十二条の規定を適用する。
第一項の規定にかかわらず、同項の更生事件における破産手続開始前の株式会社について施行日以後に新会社更生法第二百五十三条第一項第一号に規定する更生手続開始の申立ての棄却の決定があった場合、第一項の更生事件における破産手続開始前の更生会社について施行日以後に同条第一項第二号に規定する更生手続開始の決定の取消し、更生手続廃止若しくは更生計画不認可の決定が確定した場合又は第一項の更生事件における破産手続開始後の更生会社について施行日以後に同条第一項第三号に規定する更生計画認可の決定により破産手続が効力を失った後に新会社更生法第二百四十一条第一項に規定する更生手続廃止の決定が確定した場合には、新会社更生法第二百五十三条の規定を適用する。
第一項の規定にかかわらず、同項の更生事件における更生会社又は開始前会社(新会社更生法第二条第六項に規定する開始前会社をいう。第八項において同じ。)について施行日以後に新会社更生法第二百五十四条第一項各号又は第三項に規定する破産手続開始の決定をする場合には、新会社更生法第二百五十五条の規定を適用する。
施行日前に更生債権者等(新会社更生法第二条第十三項本文に規定する更生債権者等をいう。以下この項において同じ。)につき更生会社に対する債務負担の原因が生じた場合における更生債権者等による相殺の禁止及び施行日前に更生会社に対して債務を負担する者につき更生債権等(新会社更生法第二条第十二項本文に規定する更生債権等をいう。)の取得の原因が生じた場合における当該者による相殺の禁止については、新会社更生法第四十九条及び第四十九条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
施行日前にされた行為の更生事件における否認については、新会社更生法第三章第四節(第九十四条から第九十七条までを除く。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第一項の更生事件における更生会社又は開始前会社について施行日以後に新会社更生法第二百五十四条第一項各号又は第三項に規定する破産手続開始の決定がされた場合における当該決定に係る破産事件に関する相殺の禁止及び否認については、新破産法第七十一条及び第七十二条並びに第六章第二節(第百七十一条から第百七十五条までを除く。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第12条
(罰則の適用等に関する経過措置)
施行日前にした行為並びに附則第二条第一項、第三条第一項、第四条、第五条第一項、第九項、第十七項、第十九項及び第二十一項並びに第六条第一項及び第三項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。この場合において、旧民事再生法第二百四十六条及び第二百四十七条の規定の適用については第一号に掲げる再生手続開始の決定は同号に定める再生手続開始の決定と、旧会社更生法第二百五十五条及び第二百五十六条の規定の適用については第二号に掲げる更生手続開始の決定は同号に定める更生手続開始の決定と、旧更生特例法第五百三十九条及び第五百四十条の規定の適用については第三号に掲げる更生手続開始の決定は同号に定める更生手続開始の決定と、それぞれみなす。
次の各号に掲げる場合における施行日前にした行為に対する旧破産法第三百七十四条から第三百七十六条まで及び第三百七十八条の規定の適用については、当該各号に定める破産手続開始の決定は、旧破産法の規定によりされた破産の宣告とみなす。
施行日前に破産の宣告、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、整理開始の命令、特別清算開始の命令又は外国倒産処理手続の承認の決定(以下この項において「手続開始決定」という。)を受けた者(当該手続開始決定に係る破産手続、再生手続、更生手続、整理手続、特別清算手続又は承認援助手続が終了している者を除く。)が有する第百二十条の規定による改正前の債権管理回収業に関する特別措置法第二条第一項第十六号に規定する金銭債権は、第百二十条の規定による改正後の債権管理回収業に関する特別措置法の規定及び当該規定に係る罰則の適用については、同法第二条第一項第十六号に規定する金銭債権とみなす。
施行日前にされた破産、再生手続開始又は更生手続開始の申立てに係る届出の義務に関するこの法律による改正前の証券取引法、外国証券業者に関する法律及び信託業法の規定並びにこれらの規定に係る罰則の適用については、なお従前の例による。
施行日前にされた破産の宣告、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定又は外国倒産処理手続の承認の決定に係る届出、通知又は報告の義務に関するこの法律による改正前の証券取引法、測量法、国際観光ホテル整備法、建築士法、投資信託及び投資法人に関する法律、電気通信事業法、電気通信役務利用放送法、水洗炭業に関する法律、不動産の鑑定評価に関する法律、外国証券業者に関する法律、積立式宅地建物販売業法、銀行法、貸金業の規制等に関する法律、浄化槽法、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律、抵当証券業の規制等に関する法律、金融先物取引法、遊漁船業の適正化に関する法律、前払式証票の規制等に関する法律、商品投資に係る事業の規制に関する法律、不動産特定共同事業法、保険業法、資産の流動化に関する法律、債権管理回収業に関する特別措置法、新事業創出促進法、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、著作権等管理事業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、確定給付企業年金法、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律、社債等の振替に関する法律、確定拠出年金法、使用済自動車の再資源化等に関する法律、信託業法及び特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律附則第二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第一条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の規定並びにこれらの規定に係る罰則の適用については、なお従前の例による。
第14条
(政令への委任)
附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成16年6月9日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、附則第三十四条第七項から第十六項までの規定は、会社法の施行の日から施行する。
第135条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第136条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第137条
(検討)
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律による改正後の株式等の取引に係る決済制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成16年6月18日
第1条
(施行期日)
この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。
第2条
(経過措置)
この法律の施行の日が行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日後である場合には、第五十二条のうち商業登記法第百十四条の三及び第百十七条から第百十九条までの改正規定中「第百十四条の三」とあるのは、「第百十四条の四」とする。
附則
平成16年12月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成16年12月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
第121条
(処分等の効力)
この法律の施行前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
第122条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第123条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第124条
(検討)
政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成17年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十七年四月一日から施行する。
第84条
(会社更生法の一部改正に伴う経過措置)
施行日前に会社更生法の規定による更生手続開始の決定がされた場合については、なお従前の例による。
附則
平成17年7月26日
この法律は、会社法の施行の日から施行する。
附則
平成18年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十八年四月一日から施行する。
第211条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第212条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成21年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。
第98条
(会社更生法の一部改正に伴う経過措置)
前条の規定の施行の際に納期限の到来していない地方道路税は、納期限の到来していない地方揮発油税とみなして、同条の規定による改正後の会社更生法第百二十九条の規定を適用する。
附則
平成23年6月30日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。
第92条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第93条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成24年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第79条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第80条
(政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

キーボードでも操作できます

  (テンキーを利用する場合は

    NumLockして下さい)

「1」+「4」+「Enter」 ⇒ 14条

「Esc」 or 「テンキーの/」 ⇒ クリア